三重県多気町役場で33年間公務員として勤務し、ドラマ化もされた「高校生レストラン」の仕掛け人でもある岸川政之さんが3月31日、定年を前に多気町役場を退職し、第二の人生を歩み始めた。第二の人生は、大学教授と大学生と銀行マンと総研研究員。
まちの宝創造特命監として同町のまちづくりや同町以外の地域の活性化などに東奔西走してきた岸川さんは、三重県立相可(おうか)高校(同)の食物調理科の生徒たちがリアル店舗で接客し料理を作って提供するなど、高校生が店舗を運営する「高校生レストラン まごの店」(同)を仕掛けた。
2011年に放送されたドラマ(日本テレビ系列)では、岸川さん役を俳優の伊藤英明さんが演じて話題になった。同レストラン開業までのエピソードやまちづくりにかける思いなどをつづった書籍「高校生レストランの奇跡」(伊勢新聞社)も出版した。「振り返ってみると楽しい思い出ばかりだった」と公務員時代を一言でまとめる。
第二の人生はすでに4月1日からスタートしている。水・木曜には皇學館大学(伊勢市神田久志本町)現代日本社会学部の特命教授として「地域再生論」「公共政策論」などの授業を持ち、月・火・金曜には百五銀行(津市岩田)地域貢献課顧問&まちの宝創造アドバイザーとして銀行マン、百五経済研究所(同丸之内)の地域活性化客員研究員を、さらに夜間と空いた時間を利用して三重大学(同栗真町)大学院地域イノベーション学研究科(大学院後期課程)の学生をこなす。
岸川さんは「これまで通り多気町を中心にボランティア活動を続けながらも、今度は民間の立場でできる地域貢献のお手伝いをしていこうと考えている。新規事業の創出で少子高齢化などの地域の課題を解決しようと南伊勢町から始まったSBP(ソーシャルビジネスプロジェクト)が今、全国に広がろうとしている。その取り組みについても全国のやる気のある前向きな市町村と契約を結んで、地域を良くしていきたい」と意欲を見せる。