来年、日本で開かれる主要国首脳会議(サミット)が三重県志摩市で開催されることになったが、その決定を予測したかのような企画展「賢島 今昔物語」が現在、志摩市歴史民俗資料館(志摩市磯部町)で開かれている。7月5日まで。
【その他の画像】志摩市歴史民俗資料館で企画展「賢島 今昔物語」
首脳会議のメーン会場となる場所は、本土と2本の橋だけで結ばれた「賢島(かしこじま)」が最有力。志摩市を開催地とした理由について安倍晋三内閣総理大臣は6月5日に「大小の島々、美しい入り江、日本の原風景とも言える自然がある」と説明。その2本の橋で出入りする人をチェックするだけで済むことなど警備のし易さなどが決め手となったようだ。
周囲約7.5キロ、面積約0.68平方キロの小さな島=賢島は、昭和初期まで真珠養殖工場が数軒あるだけの静かな無人島だった。1928(昭和3)年頃、「海の軽井沢」として近鉄が中心となり開発、賢島鉄橋架設工事が始まり、翌年の1929(昭和4)年に賢島駅ができ、志摩電気鉄道(現近鉄志摩線)が鳥羽から乗り入れた。賢島駅南側には今では「幻の駅」となる貨物用の「真珠港駅」もあった。1973(昭和48)年に映画化された山崎豊子さんの「華麗なる一族」の舞台にもなった「志摩観光ホテル」は、1951(昭和26)年4月3日に戦後初の国内リゾートホテルとして開業した。
「賢島 今昔物語」では、無人島だった時代の開発される前の賢島や賢島鉄橋の架設工事、賢島港、賢島大橋に落ちる夕日など大正末から現在までの約50点の写真を展示、1924(大正13)年の志州電気鉄道(後の志摩電気鉄道)敷設出資金貯蓄組合加入申込證や1929年志摩電気鉄道開通時の記念絵はがき、同年賢島土地会社による賢島駅前の分譲予定図など約20点などを展示。
学芸員の崎川由美子さんは「『賢島でサミットが開催されるように』と願いを込めて企画した。願い叶ってサミットが志摩市で開催されることになって本当に良かった。サミットがきっかけになり世界中の人に伊勢志摩が知れ渡り何度も来てもらえるようになれば」と笑みを浮かべる。
入場無料。9時30分~18時開館。月曜と25日休館。