直線距離で200キロ以上離れた富士山、梅雨入りの伊勢志摩からくっきり

直線距離で200キロ以上離れた富士山、梅雨入りの伊勢志摩からくっきり

直線距離で200キロ以上離れた富士山、梅雨入りの伊勢志摩からくっきり

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 伊勢志摩から直線距離で200キロ以上離れた標高3776メートル、ユネスコ世界文化遺産登録された日本最高峰の富士山が6月10日の早朝、三重県の沿岸部の各地でくっきりとその雄大な姿を表した。この日は伊勢湾側からは160キロ以上離れた御嶽山(おんたけさん)も観測できた。

【その他の画像】伊勢湾・明和町から見た御嶽山

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 気温が暖かくなると空気中の水蒸気の量が増加するため、距離が遠くなればなるほど視界は悪くなる。反対に寒い時期は水蒸気の量が少なく空気が澄んでいるため観測の確率は上昇する。気象庁は8日の午前に東海地方が梅雨入りしたと発表。梅雨時期には富士山が観測できるチャンスは一気に下がる。

 志摩から観測できる富士山は、1707(宝永4)年の噴火でできた標高2693メートルの宝永山までが見えることから、標高2300メートル以上の頭の部分が全て海の上に浮いているように見える。鳥羽や伊勢から伊勢湾沿岸沿いからもほぼ見える富士山だが、手前に山々が見えるため水平線からすぐに富士山の稜線(りょうせん)が見えるわけではない。机上の計算では、海面0メートル地点から富士山を観測するには山など障害物がない視界があれば半径約223キロまで観測可能。実際には大気中の光の屈折があるため、その約1.06 倍となる約236キロ離れた地点からが最遠になるという。

 標高3067メートルの御嶽山は、昨年9月27日の噴火で死者57人、行方不明者6人を出した。同日、長野と岐阜両県の合同調査隊が昨年10月以来約8カ月ぶりに山頂部に入り、行方不明者の捜索再開に向けた調査を行った。御嶽山は富士山よりも近い位置にあるが志摩の海岸からは見ることができない。

 夏至(今年は6月22日)には、二見興玉神社(伊勢市二見町)の夫婦(めおと)岩の中央から富士山と朝日が一直線上に出るため多くのカメラマンが早朝から待機する。一方、伊勢志摩地域で最も高い標高555メートルの朝熊山(あさまやま)からは富士山の右肩に朝日が出る。山頂まで車で登ることができる観光道路「伊勢志摩スカイライン」は6月19日~22日の4日間限定で通常6時開門を3時30分から開門する。

 伊勢志摩経済新聞のカメラマンで志摩市出身の泊正徳さんの写真展「ひかり輝く刻(とき)」が現在、海の博物館(鳥羽市浦村町)フォトギャラリーで開催されている(6月21日まで)。泊さんは「この日は早朝の3時過ぎから安乗(あのり)の海岸で撮影。まだ暗い時間でも富士山のシルエットがくっきりと見えていたので興奮した。暖かい季節に撮る富士山は裾野までくっきりと見えるが、寒い時期の富士山は宙に浮いたように見えるので同じ場所からでも富士山の形が違ってくる。写真展ではその差がはっきりとわかるように展示している」と説明する。「今年の夏至(前後)にはどんな朝日が昇るか? どんな富士山とのコラボが見られるかがとても楽しみ」とも。

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