漁が10月1日から解禁になった志摩の天然トラフグが、地元の旅館や飲食店でも提供され、県外を中心に「天然トラフグ=あのりふぐ」を求めてやってくる客が冬場にかけて増加する。中でも飲食店「味弐(みに)いこや」(同市阿児町鵜方、TEL 0599-46-0380)の「あのりふぐ膳」(1,980円)は、昨年メディアに取り上げられてから人気を集め、今年も提供を始めた。
「あのりふぐ」とは、伊勢湾を含む遠州灘から熊野灘にかけての海域で漁獲される体重700グラム以上の天然トラフグのことで、志摩の国漁業協同組合(志摩市志摩町和具)の安乗漁港を中心に水揚げされる天然トラフグのこと。安心で安全な天然トラフグ=「あのりふぐ」を多くの人に食べてもらおうと、志摩の国漁業協同組合と地元観光協会、旅館組合、飲食店組合、商工会などで「あのりふぐ協議会」を設立し、稚魚の放流、「あのりふぐ」の商標登録、「あのりふぐ」を提供する飲食店に協議会認定看板を与えるなど「あのりふぐ」のブランド化を図っている。
今年は10月1日が悪天候だったため出漁できず、2日から42隻が出漁し、合計7.1トンのトラフグが水揚げされ、例年の3倍の水揚げに関係者も大いに喜んだ。
現在、同協議会では宿泊施設36店、飲食店8店を認定しているが、志摩市商工会館そばにある同店の「あのりふぐ膳」は価格が1,980円という安さと、テッサ(刺身)、フグの唐揚げ、テッピ(フグの皮)サラダ、ニコゴオリ、地カキのフライにご飯、味噌汁が付き、一通りのトラフグ料理を試すことができることから、昨年テレビに取り上げられ県外からの客でにぎわった。
同店オーナーの疋田誠さんは「うちは疋田水産直営の店なのでこの値段でも提供できるんだと思う。『あのりふぐ』の生産地に少しでも多くの人が訪れてくれるようにという思いから提供している。『天然トラフグ=高級で高価』と言うイメージを払拭して、少しでも多くの人に『あのりふぐ』を知ってもらい、食べたいと思うきっかけ作りになれば」と話している。
同店の営業時間は11時30分~21時。月曜は16時ごろまで。あのりふぐ漁は来年2月まで続く。