食べる 見る・遊ぶ 暮らす・働く

志摩市の「かつおの天ぱく 鰹燻し小屋」が国登録有形文化財に

志摩市の「かつおの天ぱく 鰹燻し小屋」が国登録有形文化財に

志摩市の「かつおの天ぱく 鰹燻し小屋」が国登録有形文化財に

  • 59

  •  

 昔ながらの製法でかつお節を製造販売する「まるてん」(志摩市大王町)のカツオのいぶし小屋が国の登録有形文化財に登録され、7月16日、登録有形文化財の登録プレート伝達式が志摩市役所で行われた。

【その他の画像】登録有形文化財の登録プレート

[広告]

 2022年10月31日、文化庁から「かつおの天ぱく主屋」と「かつおの天ぱく作業場」が登録有形文化財に登録された。このほど登録番号が入った登録プレートが完成し、橋爪政吉志摩市長から同社社長の天白幸明さんに手渡された。プレートには「この建造物は貴重な国民的財産です」と記されている。

 志摩市内では、2011(平成23)年に「中六店舗」(磯部町)、2013(平成25)年に「大王埼灯台」「大王埼灯台門柱及び塀」(大王町)と「安乗埼灯台」(阿児町)、「神武参剣道場」(磯部町)、2018(平成30)年に「旧猪子家住宅主屋・土蔵・門柱」(阿児町)、2021年に「松井真珠店店舗・蔵」(阿児町)の建造物が、国の登録有形文化財になっている。

 カツオをいぶすためのいぶし小屋は1951(昭和26)年ごろに建てられたもので、建築面積は、主屋=54平方メートル、作業場=148平方メートル。当時は、かつお節を製造するための作業場と住居として利用。眼下は、春から夏に海女の漁場となる太平洋が広がる断崖絶壁。現在は、住居だった部屋の一部を商品や資料を展示し、見学者に開放している。

 天白さんによると、建物が太平洋に面しているため、これまで台風による被害に何度も遭い、その度に修繕を繰り返したという。修繕、リフォームを担当する東原建築工房(阿児町)の東原達也さんは「建てられた当時の趣を大切にしながら修繕を行った」と説明する。

 同社は、江戸中期から伝わる「手火山(てびやま)」と呼ばれる製法で、5~6段に重ねたせいろにカツオを並べ、ウバメガシのまきを燃やしたじか火で約1カ月間、水分が20~18%になるまで何度も繰り返しいぶし、その後3~4カ月かけてカビ付けを行い、さらに水分を1~2%程度落としてうまみと香りを付け、完成したかつお節を削って加工し、商品に仕上げて販売している。いぶし小屋では、かつお節ができるまでの工程や伊勢神宮との関わりなどを祭りや歴史からひもとき食文化の大切さを参加者に紹介する。

 天白さんは「先人たちが継承してきた素晴らしい地域の食文化。有形文化財登録は、先人から『しっかりと、その食文化を衰退させることなく継承しなさい』と強く背中を押された思い。今後は、地域の財産、宝物として今以上に情報発信していける場所にしていきたい。日本に限らず世界からゲストを呼べる場になれるよう、さらに誘客につながるように精進していきたい」と話す。

 見学は同社ホームページで受け付けている。

伊勢志摩経済新聞VOTE

現在お住まいはどちらですか?

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース