
広域通信制高校の「代々木高校」(志摩市磯部町)の卒業式が3月8日、志摩市磯部生涯学習センター(同)で行われた。
本年度の同校全卒業生は約500人で、志摩市内の本校「志摩夏草本校」の卒業生は47人。卒業生は、3年生の総合学習の授業で自分たちが作った真珠のペンダントを胸に着けて卒業式に臨んだ。
清水宝文校長から卒業証書を受け取ると、卒業生たちはステージのマイクに向かって「代々木高校に来て良かった」「3年間ありがとうございました」などと感謝の言葉を述べた。「ともいきの国 伊勢忍者キングダム」(伊勢市二見町)で忍者として働く村上淳志さんは31歳で卒業を果たした。壇上で「選挙権を持ったら選挙に行きましょう」と卒業生に呼びかけた。
卒業生代表に選ばれた村上さくらさんは「3年間は私たちにとって有意義で貴重な時間だった。私は好きなことをしたいと思い、通信制高校を選んだ。多くの経験と資格を7つ、お金を350万円稼いだ。高校生活は自分自身を見つめ直し新しいことに挑戦する勇気を持ち、時には失敗から学ぶ場だった。自分の進んだ道に誇りを持ち輝く人になることを誓います」とあいさつした。
父親の扶養家族として働いていた村上さくらさんは1年生の時に特定扶養控除の103万円を越えないようにと母親から教えてもらっていたという。村上さんは「老人ホームやデイサービスの食事の配膳、片付け、掃除などのアルバイトで1日8時間働いた。入学した1年目に70万、2年目に102万円、3年目に102万円、卒業年の3月までに75万円(見込み)で約350万円を稼ぐことができた。一番もどかしい思いをしたのは103万円を越えてしまうため冬のボーナス減額を申し出たこと。『壁』には直面したが、通信制高校を選んだことで、思い通り好きなことができた。そのおかげで理学療法士を目指そうと目標も明確になった。高校生活大満足、後悔はない」とも。
一色真司理事長は「代々木高校には、出身地も年齢も背景も思いも様々な人たちが集う。学校は社会に出る予行演習の場。価値観の違う仲間との体験を通して気づいたことは社会に出てからも重要になってくる。18歳は法律上成人。自由がある分、責任ももっと大きくなる。日々の積み重ねが大切、意識し実行すること。時には壁にぶつかり悩むこともあると思うが乗り越えてほしい。いつまでも応援している」とエールを送る。