夫婦岩で有名な「二見興玉(おきたま)神社」(伊勢市二見町江)で海中の藻を刈る神事「藻刈神事(もかりしんじ)」が5月21日、夫婦岩の沖合で厳かに執り行われた。
藻刈神事は夫婦岩の沖合い700メートル先の海中に鎮座する猿田彦大神ゆかりの興玉神石(おきたましんせき)に生える「無垢塩草(むくしおくさ)」(アマモ)を採取する神事。この日、本殿での祭典の後、神職、巫女(みこ)が、榊・幟を立てしめ縄を張り巡らした和船に乗り、興玉神石のある海上を3周、2拝2拍手1拝の後、御酒御饌を海中に捧げ、無垢塩草を手鎌で刈り取った。採取された無垢塩草は後日、天日に干し、同神社のお祓い時に使用する「祓具(はらいのぐ)」、または「無垢塩草」守りとなる。
古来より伊勢神宮参拝の前に二見浦で禊(みそぎ)を行う風習が残り、伊勢神宮式年遷宮「お木曳行事」「お白石持ち行事」参加時には「浜参宮」として禊の代わりに「無垢塩祓い」を受ける。
同神社広報担当の岡みどりさんは「お守りとしての無垢塩草(200円)は、昔から罪・けがれを祓うと言われ、身に付けたり、浴場に入れるなど不浄祓守として、また、しめ縄に付け門口の不浄祓い、田畑のあぜに立て害虫予防に使用したりする。昨年までの『お木曳行事』で『一日神領民』として多くの人が当神社で『無垢塩祓い』を受けたこともあり、口コミで無垢塩草のお守りを求める人が多くなっている」と話す。
興玉神石は周囲約1キロの岩礁で、江戸時代の地震で水没し、現在はほとんど見ることができない。大しめ縄を張った夫婦岩は、猿田彦大神ゆかりの「興玉神石」、夫婦岩の間から差し昇る「日の大神」を拝する鳥居の役目とされている。
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