社殿や神宝などを20年ごとで新調する第62回伊勢神宮式年遷宮を2013(平成25)年に控え、伊勢神宮・内宮の五十鈴川にかかる宇治橋が11月3日、渡始式(わたりはじめしき)を終え新しくなった。
野口みずきさん、楠田枝里子さん、中村獅童さんらは宇治橋渡始式架け替え奉祝委員会とともに宇治橋を渡った。
宇治橋を渡った感想を著名人から聞いた。
「語り舞台日本神話への誘い」で、全国各地の神社を舞台に日本の神話「古事記」を伝えている女優の浅野温子さんは、清々しい表情で「感激でした」とコメント。
伊勢市出身でアテネオリンピック女子マラソン金メダリストの野口みずきさんは「空気が違っている。ロンドンオリンピックへ向けて頑張ろうと誓った」と決意を新たにした。
同じく同市出身のタレントの楠田枝里子さんは「とてもさわやかな気持ち。宇治橋の擬宝珠(ぎぼし)を触ってご利益をもらおう」と自らの手で擬宝珠を触った。
歌舞伎役者の中村獅童さんは気を引き締めた様子で「とても清々しい気持ちになった」と話した。
神宮の特別舞台で奉祝演奏を披露した東儀秀樹さんは「伊勢神宮ではいつも重要なタイミングでご縁をいただきこのように演奏ができることをありがたく誉れに思う。とても清々しく、20年に1度のこの日を楽しませていただく」とステージから伝えた。
地元伊勢市出身で伊勢神宮の公式カメラマンでもある中野晴生さんは「渡り納めから工事が始まり今日までの1年以上、新しく宇治橋が出来上がる過程を見てきていたので『やっと出来て良かった』と素直にそう思った」と笑顔。
Dr.コパこと小林祥晃さんは「前回(宇治橋渡り始め)の時には身内に不幸があったので渡れなかったことを思い出しながら20年間を振り返った。僕にとって宇治橋は夢をかなえる橋。その時誓った3つのお願いはすべて成就した。これからの20年間は僕に出来ることで大神様にお役に立ちたい」と新たな思いも。
伊勢神宮正式参拝ツアーなどオリジナル企画を展開するタラサ志摩ホテル&リゾート(鳥羽市浦村町)の今野華都子さんは翌日の早朝宿泊客とともに新橋を渡り、「人の手で作った宇治橋が脈々とつながって大自然の中で共生している。たった一つの小さな生物の人間が文明を使って共生してきたことを再認識した。『当たり前』でないこと、生命への感謝を新たにした」と話した。
新たに掛けられた宇治橋の最初の朝を迎えた11月4日、宇治橋に初霜が降り、白木の橋がさらに白くなった。冬至をはさむ約2カ月間だけ宇治橋と鳥居の間に太陽が入るこの日、アマチュアカメラマンなど約30人が新たな宇治橋と朝日をカメラに納めようと宇治橋前に集まった。
朝日が顔を出すと一斉にシャッター音が鳴り響き、宇治橋が白銀色に輝いた。さらに太陽が昇り気温が上昇すると白くまとった霜が解け、ヒノキが顔を出した。霜が解け橋の表面が水分で覆われると今度は太陽の光で黄金色に輝いた。野口みずきさんのロンドンオリンピック出場と金メダル獲得への思いが黄金色の宇治橋と重なった。