「キーワードは『常若(とこわか)』。常に若々しく瑞々(みずみず)しいこと。この言葉の意味を感じることができたときに初めて、伊勢神宮のことを知ることができたような気がした」と話すのは、8月20日発売の「永遠の聖地 伊勢神宮二〇一三年、式年遷宮へ」(出版=ウェッジ)の著者=千種清美さん。
同書は、月間170万席を誇る東海道・山陽新幹線グリーン車の座席に備え付けられ、JRキオスクなどで販売されている月刊誌「WEDGE(ウェッジ)」の姉妹誌=「ひととき」に連載してきた4年間のコラムをまとめたもの。内容は伊勢神宮のことを中心に、20年ごとに新しい社殿を建て替える「式年遷宮」や「祭り」についてわかり易く紹介する。コラムは現在も継続中で最新号の9月号では神田で執り行われる抜穂祭(ぬいぼさい)について書いている。
千種さんは、NHK津放送局アシスタント、タウン誌「伊勢志摩」の編集長を経て独立、フリーライターに。週に一度、皇學館大学で非常勤講師を務めコミュニケーション学科の学生らに「伊勢学」「表現演習」を教えている。
千種さんは「『常若』とは年齢のことだけをいうのではない。昨年11月に宇治橋が新しく架け替えられ、初めて友人と渡ったときに『20年後にまた一緒に渡ろう』と誓い合った。その時に、そうだ、この橋はただ新しいだけではなくまた20年後に新しくなる橋。つまり20年後という未来にもつながっている。過去から現在、そして未来へつなぐということが『常若』ということだ――と感じた。閉塞感漂う今の世にあって近い未来を確信できることはなんとありがたくうれしいことか。常にみずみずしい社殿に神様に鎮まっていただくという式年遷宮。その精神を表す『常若』という言葉を『未来を信じる心がある』という言い換えたとき、今の世に大きな示唆を与えてくれる」と説明する。
「1度は伊勢神宮にご挨拶に来られた人で、もっと深く知りたいと思う人に、この本を手に取ってもらいたい。本を読んで再び伊勢神宮に来られて、『常若』の精神を体で感じていただければ」(千種さん)とも。
価格は1,470円。全国の書店、インターネット書店で販売中。