志摩市立越賀中学校(志摩市志摩町)の閉校を題材にした映画「校歌の卒業式~キボウノトビラ」の完成試写会が1月31日、志摩市商工会(阿児町)で開催された。主役の桐島ココさんらのトークショーもあり、会場には150人以上の観客が詰めかけた。
同作は一昨年、同市内の船越中学校(大王町)の閉校がきっかけで地域の人たちが一丸となって作った映画「校歌の卒業式」の第2弾シリーズ。閉校によって校歌が無くなること、歌えなくなること、その校歌の中に閉じ込められていた卒業生(まちの人)たちのそれぞれの思い出や人とのつながりを浮き彫りにしながら地域やコミュニティー、学校のあり方について訴える。
新任の英語教師=中森惠子役を演じるのは、伊勢出身の新人女優の桐島さん。2013年の春、初めての職場である越賀中学校は、赴任した年度の卒業と同時に無くなってしまう。最初はどこか他人ごとだった中森の心に変化が現れる。子どもたちや地域の人たちと触れ合ううちに寂しさが込み上げてくる。キャストのほとんどは同校の生徒と教師と地域の人たちだ。映画「ALWAYS三丁目の夕日」などを手がけた大王町出身の山際新平さんが監督を務めた。
山際さんは「2年生はたったの10人、空いて使われていないたくさんの教室。初めて越賀中学校を訪れた時の切なかった思いがよみがえった」と涙をこらえながら話す。「文部科学省によると、2004(平成16)年の577校をピークに、毎年400~500校が日本の各地域で閉校している。『校歌の卒業式』シリーズは、全国各地で同じ境遇を持つ人たちに観てもらいたい」と呼び掛ける。
3月には地元越賀地区での上映会も予定。DVD化も視野に入れている。同作の上映会の開催や問い合せは制作プロダクション「クロニクル」(東京都港区、TEL 03-5786-7640)まで。