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特集

志摩市で泥だらけになりながら土壁を塗る伝統構法 「家づくりはみんなで楽しく」

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施主「そこは○○さん担当ね」
  「その壁は『○○さんの壁』ね」
  「壊して塗り替えるまでその壁の名前は『○○さんの壁』に決定よ」

参加者○○さん「記念にサインや手形でも入れておこうか(笑)」

とその場が和む。


 会話は、昔ながらの伝統工法で家を建てよう進めている建築現場の土壁作りでの一こま。すでに家が完成してからの会話を思い描きながら楽しんでいる。

「志摩の小庭 いかだ丸太の家」
国土交通省の「気候風土適応型プロジェクト2018」平成30年度サスティナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)に選定

「家づくりはみんなで楽しく」

 2016年にG7伊勢志摩サミットが開催された志摩市阿児町の賢島から賢島橋を渡った約2800 坪の小高い丘の上に、竹内和彦さんと妻の千鶴さんが、昔ながらの「石場建て」の建築構法で「志摩の小庭 いかだ丸太の家」(平屋建て、延べ床面積=約60平方メートル)という名の住宅を建築している。建築・施工は東原建築工房(志摩市阿児町立神)の代表・東原達也さん、設計はM5(エムサンク)アーキテクト一級建築士事務所(愛知県北名古屋市)の代表・六浦基晴さんが担当する。


 家は、三重県北部の朝明(あさけ)川で取れた「菰野(こもの)石」の玉石に柱を立てた「石場建て」、壁は周りの里山に自生する竹を割り、組み上げ、地元の農家から譲り受けた稲わらと地元の赤土を混ぜてこねた土壁。屋根にはこの地域の地場産業でもある真珠やカキの養殖でアコヤ貝やカキを吊るしておくいかだに使用されるヒノキの丸太を使い、断熱材としてもみ殻を入れる。床断熱にはもみ殻で作った燻炭を敷き、土間は地元の焼いたカキ殻や海水を混ぜて三和土(たたき)土間にする。


 地元の生産者や職人が、地域に伝わる伝統工法で、地域で生産・供給される建築材料をできるだけ使い、その地域の気候(外気温、日射、外部風など)を活用・制御する工夫などを取り入れ作りあげる。 景観にも意識し、完成してからも地域に根ざした住まい方をしていこうとする国のガイドライン「気候風土適応住宅」にも沿っている。

 「志摩の小庭 いかだ丸太の家」は、国土交通省の「気候風土適応型プロジェクト2018」平成30年度サスティナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)に選定された。

「志摩の小庭 いかだ丸太の家」は、国土交通省の「気候風土適応型プロジェクト2018」平成30年度サスティナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)に選定

みんなで作る。

 建築にあたって、1月24日に土壁用に使用する竹割り、3月12日、15日に地固め(ヨイトマケ)、11月17日、18日に土壁用の仕立て(竹小舞)と土壁塗り(外側)、12月3日、4日土壁塗り(内側)をそれぞれワークションプ形式で一般の参加者も募り、みんなで作業を行った。

「志摩の小庭 いかだ丸太の家」みんなで土壁塗り作業
「志摩の小庭 いかだ丸太の家」みんなで土壁塗り作業

伝統的な家づくりの楽しさ

 東原さんは「昭和の中頃までは、家を建てるときは親戚、隣組のみんなが集まって手伝い、作業していた。そこから家と家の付き合いがより親密になり、何かあったら助け合う当たり前の関係が構築されていったのだと思う。『出合い』や『結』などといわれるコミュニティーが自然と出来上がっていた。難しく説明するとそういうことだと思うがそんなことよりも、みんなで作業をすることがこんなに楽しいんだということを知ってほしい。今の建築現場でそういった時間を共有できなくなってしまっているのは少し寂しい気がする」と話す。

「志摩の小庭 いかだ丸太の家」みんなで「ヨイトマケ」地固め作業
「志摩の小庭 いかだ丸太の家」みんなで「ヨイトマケ」地固め作業

 「ヨイトマケ」とは、「地固め・土突き」の意味で使われるようになったが、元々は重機がない時代に、重い木の柱や石を滑車に吊るした槌(つち)にしてロープでくくり、数人で引張り上げて落とす時の掛け声が「ヨイっと巻け」から「ヨイトマケ」となったと言われる。歌手の美輪明宏さん作詞作曲の「ヨイトマケの唄」は、1966(昭和41)年のヒット曲でも知られている。

「志摩の小庭 いかだ丸太の家」みんなで竹小舞(竹組み)

 東原さんは「家の真ん中にある土間はみんなで食事を作ったり、会話したりできるように団らんの場として設計しているので、より多くの人が集うことを想定している。年明けにはその土間をみんなで作るワークショップを開催したいと思う。大工や建築、伝統構法に興味のある人も自由に参加していただければ」と呼びかける。

「家づくりはみんなで楽しく」もみ殻を燻炭に
「家づくりはみんなで楽しく」もみ殻を燻炭に

 次回のワークショップの日程は、東原さんのフェイスブックなどで告知・案内する。問い合わせは東原さん(TEL 090-4466-2905)まで。

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東原建築工房

「志摩の小庭 いかだ丸太の家」(facebook)

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