「神宮大麻」のご神体となる木を切り始める祭り、かつては国民の9割が家に

「神宮大麻」のご神体となるスギを切り始める祭り、かつては国民の9割が家に祭っていた

「神宮大麻」のご神体となるスギを切り始める祭り、かつては国民の9割が家に祭っていた

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 家庭の神棚などに祭られる「神宮大麻(じんぐうたいま)」のご神体となるスギ材を神宮林から切り出す「大麻用材伐始祭(たいまようざいきりはじめさい)」が4月19日、伊勢神宮宇治橋前の森の中にある丸山祭場(伊勢市宇治今在家町)で行われた。

神路山を正面にオノを振る小工ら

 ウグイスが鳴き、風が優しく流れる静かな森の中で厳かに神事が始まった。お祓いを終え神饌(しんせん)を納めると、それに山の神が答えるかのように雷が鳴り響き雲が覆い、一瞬辺りが暗くなった。会場がざわめいたが、太陽の光は再び森を照らした。作業の安全を祈願する祝詞が読み上げられ、素襖烏帽子(すおうえぼし)姿の小工(こだくみ)が神路山に向かってオノを3回振り下ろした。若葉が芽吹き、色とりどりの緑が美しく映える神路山を正面に見る祭場では、鷹司尚武大宮司や高城治延少宮司ら神職約70人が祭りを見守った。

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 切り出したスギは、製材し半年間、第二奉製所で風雨にさらしヤニを取り、乾燥させる。秋以降、厚さ約1ミリの木地に加工し、和紙に巻きつけ御真を作る。その後第一奉製所に移され、さらに丁寧に和紙で巻かれ完成する。

 神宮大麻とは、「御真(ぎょしん)」と呼ぶご神体を和紙で包み、中心に納めたお神札(ふだ)のこと。神宮の神楽殿などで受けることができ、内宮と外宮にそれぞれ「天照皇大神宮」「豊受大神宮」と書かれた「角祓(かくはらい)」「大角祓い」「剣祓(けんはらい)」の3種類6体と海上安全・大漁満足を祈願する「海幸大麻」がそれぞれ1体づつある。また14の別宮にもそれぞれの宮名の「剣祓」1体づつがある。

 神宮大麻は、9月17日にある「大麻暦頒布始祭」を終えると全国の神社を通じて約1,000万体が頒布される。かつて、神宮の御師(おし・おんし)らによって全国に広められ、江戸時代後期の安永年間には、全国世帯の約9割が大麻を受けていたという記録も残る。

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