大型でノロノロの台風12号の強風と高波の影響で、二見興玉神社(伊勢市二見町)夫婦岩のしめ縄5本が全て切れてしまった。
しめ縄は、1本約35メートル、重さ約40キロ、太さ10センチ。5本を氏子らが昔ながらの手法であらかじめ綯(な)い調整、毎年3回大注連縄張神事(おおめなわはりしんじ)で張り替える。8月22日に3本が切れ2本だけで夫婦の絆をつないでいたが、9月1日朝7時30分ごろ、ついに残りの2本も切れた。切れたしめ縄は5月5日に張り替えたもので、9月5日の張り替えを待っていたが、しばしの「夫婦げんか」となってしまった。
2日早朝は満潮時刻と重なったため、同神社の神職らは波しぶきを受けながらの出勤となった。参拝客もびしょぬれになりながら手を合わせていたという。現在神社前の道路は通行禁止となっている。「嵐を乗り越え、5日の大注連縄張神事で新たな絆を張り渡したい」と同神社職員。
ノロノロ台風は地元の漁業にも影響を与えている。三重外湾漁協志摩支所和具事業所によると、海女漁は8月25日から9日間連続で操業できていないという。漁業者は漁船を英虞湾側の港に回避させるなど台風に備えた。港付近は10メートル以上の強い風が吹き、防波堤を乗り越えようとする波が白くはじけている。
伊勢湾フェリー、鳥羽市定期船は全便欠航し、JR東海は紀勢本線、参宮線などで運休。県道でも阿児磯部鳥羽線、勢和兄国松阪線などを全面通行止めにした。
気象庁によると、台風第12号(タラス)は現在(20時45分発表)、室戸岬の南約150キロの海上にあり、1時間におよそ15キロの速さで北北西に進んでいる。中心の気圧は965ヘクトパスカル、最大風速は30メートル、最大瞬間風速は45メートルで、中心の東側220キロ以内と西側170キロ以内では風速25メートルの暴風域となっている。