伊勢国際宗教フォーラム(事務局=伊勢市神田久志本町)の第5回年次大会が11月20日、皇学館大学(同)4号館431教室で開催される。
同フォーラムは、平和共生への指針となる新たな価値観を創造するため2007年11月に設立。日本と世界の宗教関係者・研究者約100人が毎年伊勢の地に集う。設立大会ではダライ・ラマ法王の記念講演会を行った。
昨年は「宗教と環境」をテーマに、「自然」から学び、生命の大いなる循環や再生、繰り返しの自然観、生と死・再生・よみがえりの生命観を精査し、世界の諸宗教における循環型世界観を提示することの必要性を見いだした。また森林保全活動における「商業的森林管理基準(FSC)」に対し、各宗教の教義や経典に基づく「土地の神学」による「宗教的森林管理基準(RFS)」についても話し合われた。
今回も昨年と同じ「宗教と環境」をテーマに、東日本大震災が発生したことを受け「自然災害と聖域」について話し合う。「災害支援と宗教」「コミュニティーに聖域のある意味」と題してそれぞれ島薗進東京大学大学院教授と櫻井治男皇学館大学教授の基調講演があるほか、宮城県石巻市の零羊埼神社櫻谷鎭雄宮司、福島市円通寺の吉岡棟憲住職を招き「被災地の社寺と人々」についての講演とパネルディスカッションなどがある。前日には、朝熊岳金剛證寺、皇大神宮摂社堅田神社、松下社、二見興玉神社、御塩殿などを巡る聖地見学会も予定する。
同フォーラムの本澤雅史代表は年次大会について、「震災によって、宗教や宗教者の果たす役割が問われている現状を鑑み、災害支援と宗教や聖域の役割や意義についてその実態を明らかにし、今後の日本社会と宗教のあり方を考察すべく『宗教と環境』のテーマをさらに追究していきたい」と話す。