伊勢市出身の作家・橋本紡(つむぐ)さんが料理をテーマに書いた物語を集めた書籍「今日のごちそう」(講談社)が3月、出版された。
橋本さんは、俳優の池松壮亮さんや大泉洋さん、女優の忽那汐里さんらが演じ、深川栄洋監督によってオール伊勢ロケで制作された2010年公開の映画「半分の月がのぼる空(半月)」の原作者。
同作品は、本に関する情報誌「新刊展望」(日販)に2007年7月号~2009年6月号まで「家飯(いえめし)Recipes of my life」として連載してきた短編小説をまとめたもの。23のストーリーに登場する料理の主な材料なども紹介する。
それぞれの小説には「伊達巻」「伊勢風雑煮」「ごまかしのカルボナーラ」「花見弁当」「漬物」など料理に関するタイトルが付けられ、日常の中の誰にでもあるごく普通の風景をつづっている。「伊勢風雑煮」では、伊勢を離れ都内に住居を構えた主人公が久しぶりに実家に戻った時に抱く心の変化を描く。
橋本さんは「伊勢で生まれ三重県のあちこちで育ち、18歳で東京に出た。物語のあちこちにそんな僕の思いが散らばっている。伊勢弁を口にしながら娘を抱きしめる母、伊勢にいる母に電話をかける息子…。そんな人々を丁寧に描いた物語」と説明する。
「料理好きの人はもちろん、食べるのが好きな人にも楽しんでいただけるはず。少し落ち込んだ日などにも手に取っていただければ」とも。
講談社の「今日のごちそう」公式ホームページでは、未収録作品「チャイ」の試し読みが可能。価格は1,470円。全国の書店、インターネットで販売する。