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吉田沙保里さん効果か?-伊勢志摩でゴールドパールラッシュ

吉田沙保里さん効果か?-伊勢志摩でゴールドパールラッシュ。ゴールドの真珠を見せてくれる真珠店店員(写真のネックレス右は吉田さんと同じ13ミリ、左はアコヤ10ミリの金色のネックレス)

吉田沙保里さん効果か?-伊勢志摩でゴールドパールラッシュ。ゴールドの真珠を見せてくれる真珠店店員(写真のネックレス右は吉田さんと同じ13ミリ、左はアコヤ10ミリの金色のネックレス)

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 レスリング女子55キロ級で五輪・世界選手権合わせて13連覇を達成し、国民栄誉賞を受けた三重県津市出身の吉田沙保里さんが野田佳彦首相から贈られた記念品の金の真珠が元で、ゴールドパールの需要に期待して伊勢志摩の真珠業界がにわかに湧き上がっている。

吉田沙保里さんがもらったの金の真珠と同じサイズのネックレス

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 11月7日に首相官邸で行われた表彰式で、13連覇にちなんだ直径13ミリの金色の南洋真珠のペンダントが吉田さんに贈られた。同真珠は、真珠産業を興した鳥羽市出身の御木本幸吉が創業したミキモト(東京都中央区銀座)によるもの。オーストラリアやインドネシア近海で育つ南洋真珠といわれるシロチョウガイ(白蝶貝)から作られた真珠を使い、オリンピックの聖火からイメージした炎をモチーフとしてイエローゴールド、ピンクゴールドの2色のゴールドと、プラチナ、ダイヤモンドでデザインした。

 志摩市で40年以上真珠販売を営む会社社長によると「金色の南洋真珠は、2年前ほどから中国市場でブームとなり価格が上昇傾向にあり3割ほど高くなっていた。そこにきて吉田さんのゴールドの真珠が話題を呼び、この2~3日の間にも金色の真珠の注文や問い合わせが多くなっている」という。御木本幸吉が真珠養殖を始めた英虞湾に浮かぶ無人島(多徳島)と目と鼻の先にある賢島で、創業86年の真珠専門店「イワジン真珠」(志摩市阿児町)でも、「『吉田沙保里さんがもらった金色の真珠がある』と客同士で盛り上がったり、無言で金色の真珠のあるショーケースを眺めて動かない人などが増えた」と説明する。

 真珠関係者は、「ゴールドパールの人気に火が付き、真珠が再認識されれば」と期待を込める。一方「南洋真珠よりも純国産の『和珠(わだま)』をプレゼントしてくれたら良かったのに…」と国内需要喚起を願う声も。品薄のゴールドパールに、需要を見込んだ取り引きが水面下で行われ、ゴールドパールラッシュが起きつつある。

 金色の真珠は、かつて日本で採れるアコヤガイでもまれにできたが、一般的にピンク系の白色が好まれることから、金色が出ないようにする技術革新と、母貝となるアコヤガイの性質変化などによって、今ではほとんどできなくなった。現在では過去にアコヤガイから作られた金色の真珠が残ってるだけで、ほとんど流通していない。真珠関係者は「おそらく、金色の真珠のリクエストに応えるためには、南洋真珠のゴールドパールで対応するしかなかったのだろう」と推測する。

 伊勢志摩地方は、御木本幸吉、西川藤吉、見瀬辰平らがアコヤガイによる真円真珠の養殖法を発明し、養殖真珠発祥の地として発展してきた。全国における生産額の推移は、バブル景気の1990年に885億円と過去最高を記録。その後も国内需要の増大により1994年まで800億円前後で推移したが、バブル経済崩壊以降、市場が急激に冷え込み毎年減少の一途をたどり、2009年には100億円を切り2010年には97億円まで減少している。

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