伊勢神宮式年遷宮で新たに天照大神(あまてらすおおみかみ)が祭られる内宮(ないくう)の正殿(しょうでん)の御扉(みとびら)を完成させる儀式「御戸祭(みとさい)」が9月13日、神宮神職や技師、小工(こだくみ)といわれる宮大工ら25人によって執り行われた。
伊勢市民(旧神領民)や特別神領民らが「お白石持ち行事」で白石を敷き詰め、板垣、外玉垣(とのたまがき)、内玉垣、瑞垣(みずがき)の4重の垣で囲われた中の中央に立つ正殿の殿外の造営工事が、この祭りによって完全に完成する。
儀式は、家屋の守護神・屋船大神(やふねのおおかみ)に神饌(しんせん)を供え、「御扉は開閉(あけたて)に損なわず、鑰匙(かぎ)の渋ることなく」と祝詞(のりと)を上げた後、技師が新しい扉にのみと木づちで御鑰(みかぎ)=鍵穴を開け貫通させた。この日は天照大神の荒魂(あらみたま)を祭る荒祭宮(あらまつりのみや)でも御戸祭が厳粛に行われた。15日には、外宮(げくう)と外宮の多賀宮(たかのみや)でも同様に執り行われる。
外宮の勾玉(まがたま)池のほとりに昨年4月に完成した「式年遷宮記念 せんぐう館」(伊勢市豊川町)のエントランス正面には、1953(昭和28)年の第59回式年遷宮で調えられた外宮正殿の御扉を展示している。一般の人が御扉を直接近くで見ることができるのはここだけになる。