古事記に登場する力持ちの神様「天手力男命(たぢからおのみこと)」を祭る「佐那神社」(多気町仁田)を多くの人に知ってもらいたいと、書籍「古事記 天手力男」を多気ブックセンター(相可)社長の小野孝男さんが出版した。
多気ブックセンターのコーナーに5年前から古事記コーナーを設置する小野孝男さん
同神社は、スポーツ・力の神様「天手力男命」、占いの神様「曙立王(あけたつのみこ)」、芸能の神様「天宇受売命(あめのうずめのみこと)」などを祭る。創立年代は不詳だが、古事記に「手力男神者坐佐那懸也」と記載されていることから1300年以上の歴史があると考えられている。
天照大御神(あまてらすおおみかみ)が岩穴の中に隠れて世の中が真っ暗になりそれを憂い神々が協力し合いながら天照大御神を中から出す作戦を展開する「岩戸伝説」で、天手力男命は岩戸を力ずくで動かした神様、天宇受売命は岩戸の前で神々を笑わせながら踊った神様。曙立王は超能力を持つ占いの神様で古事記にも登場する。子どものことで悩んでいた第11代垂仁天皇の悩みを占いで解決した。
佐那神社の隣にある佐奈小学校を卒業した小野さんは「小学4年の担任の先生が佐那神社には力持ちの神様『天手力男命』が祭られていて天の岩戸物語で大変活躍したと教えてくれた時、とても感動した。さらに同年に三船敏郎さん主演の映画『日本誕生』が公開され、天手力男命役を当時の横綱・朝汐太郎さんが演じたことが印象的で、以来、天手力男命を誇りに思っていた」と話す。
小野さんは「多気ブックセンターに5年前から古事記コーナーを設け古事記、天手力男命をPRしている。この本がきっかけで古事記に興味を持ってもらい、天手力男命や曙立王、佐那神社を少しでも知ってもらうきっかけになれば」とも。
仕様はA5版57ページ。価格は840円(4月1日以降は864円)。