2体の竜が空から現れ、火災から守ったとされる伝説の仏像「十一面観世音菩薩(ぼさつ)」の12年に1度のご開帳が3月11日~13日、龍池山・松尾観音寺(伊勢市楠部町)の初午(はつうま)大祭に合わせて行われている。
2体の竜が空から現れ、火災から守ったとされる伝説の仏像「十一面観世音菩薩」は
712年に行基(668~749)によって創建され、数多くの「竜神伝説」を持つ同寺。2012年11月18日には「開山1300年記念大法要」が行われた。
行基自らが作ったとされる本尊の「十一面観世音菩薩」は、1403年に本堂が火災で燃えた際、本堂裏の「二つ池」から2体の竜が現れ、雄竜が炎の中に飛び込み本尊を体で巻き付け救い、雌竜が何度も池の水を吹きかけ消火したと伝説が残る。
同寺の木造(こつくり)隆誠住職は「ご本尊のご開帳はそれまで『開山から100年に1度』と『住職就任から1代で1度』と決められていたが、多くの人から『生きているうちに一目見たい』との要望を受けた先代が、『それでは毎年の午(うま)の年(12年周期)にもご開帳しよう』と決めた」と説明する。
期間中、本尊のほかに「毘沙門天(びしゃもんてん)」「地蔵菩薩」も同時に開帳(拝観料1,000円)。初日の11日は「十一面観世音菩薩」の12年に1度のご開帳目当てに大勢の参拝客で賑わっていた。東日本大震災が発生した14時46分には、境内に集まった全ての参拝客と共に1分間の黙とうが行われ続いて、「十一面観世音菩薩」に被災地の1日も早い復興を祈念した10人の僧侶による読経が行われた。
同寺本堂の開門は8時~17時(初午大祭の3日間は20時まで)。
そのほかの竜にまつわる逸話「本尊の下に亀の甲羅ほどの大きさの『竜のうろこ』が安置されている」「閉めても必ず開くという本堂の天井板は『竜の通り道』といわれている」「2006年、総ケヤキ造りの本堂床板に突如『竜』の模様が現れた。撫(な)でるとご利益があると『撫で竜』といわれ親しまれている」。