志摩市にある伊勢神宮別宮「伊雑宮(いざわのみや・いぞうぐう)」(志摩市磯部町)で5月25日、20年に一度社殿などを新しくする式年遷宮行事の一つ「立柱祭」と「上棟祭」が執り行われた。
昨年の10月2日と5日に伊勢神宮の内宮(ないくう)と外宮(げくう)の正宮、同10日と13日に内宮別宮の「荒祭宮(あらまつりのみや)」と外宮別宮「多賀宮(たかのみや)」でそれぞれ神様の引っ越し「遷御(せんぎょ)」が行われ伊勢神宮の遷宮が完結したかのように思われているが、今年1月からは伊勢神宮別宮の式年遷宮行事が次々に進められている。
伊勢神宮125社の12の別宮でそれぞれ「立柱祭」「上棟祭」「檐付祭(のきつけさい)」「甍祭(いらかさい)」が順次行われている。これまで1月8日に「月読宮(つきよみぐう・つきよみのみや)」と「月読荒御魂宮(つきよみのあらみたまのみや)」(伊勢市中村町)、 3月15日 に「伊佐奈岐宮(いざなぎのみや)」と「伊佐奈彌宮(いざなみのみや)」(同)、4月15日に「瀧原宮(たきはらのみや)」と「瀧原竝宮(たきはらならびのみや)」(度会郡大紀町)で 立柱祭と上棟祭が行われた。 伊雑宮の立柱祭と上棟祭は別宮の中で9番目になる。
立柱祭は、正殿を支える御柱(みはしら)を立てる祭典で大宮柱がいつまでも揺るぐことのないよう建築の神様「屋船大神(やふねのおおかみ)」にお祈りした後、正殿を支える御柱を小工(こだくみ)と呼ばれる宮大工が、木づちで打ち固める祭典。
上棟祭は、一般的に「棟上げ」「棟上げ式」と同じ趣旨で、屋根の一番高いところの棟木(むなぎ)を組み終わる時に「棟や梁(はり)が緩まないように、動かないように」と祈願する祭典で、神職らが棟木から垂らされた2本の白い布綱に手をかけ、小工が屋根の上から「千歳棟(せんざいとう)、万歳棟(まんざいとう)、曳々億棟(えいえいおくとう)」と唱え小づちで棟木を3度打ち固める。打ち固めた後、小工が屋根の上から餅を投げる風習は今も残る。
内宮・外宮であった遷宮行事は一般の人は遠くでしか感じることができなかったが別宮では、よりも身近で見て感じることができるメリットがある。伊雑宮での行事は一般の人が見ることができる位置からこれまでの別宮の中でも最も近い距離で居合わせた人は「とても近くで見ることができて、有り難い。ただただ感謝」と手を合わせていた。この日は、今年4月に発足したばかりだという「伊雑宮ご遷宮奉仕会」のメンバー49人も参列し、式典を見守った。
同宮では造営作業が進められ、6月20日に「檐付祭」、7月25日に「甍祭」が行われる。