「導かれてやってくる人が多い」といわれる伊勢神宮外宮勾玉池(まがたまいけ)のほとりにたつ「茜社(あこねやしろ)」(伊勢市豊川町)で7月15日、毎年恒例の例祭が執り行われた。
「導かれてやってくる神社」伊勢神宮勾玉池のほとりの「茜社」で例祭、国際的ハープ奏者の速海ちひろさんによる奉納演奏も
伊勢の人から「あこねさん」と親しまれる同神社。もともと外宮(豊受大神宮)の摂社だったが、明治初期に神宮から切り離され、1952(昭和27)年に独立。境内社に、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)を祭る「豊川茜稲荷神社」、学問の神様・菅原道真を祭る伊勢唯一の「天神社」がある。現在は、豊川町、旭町、藤里町の住民らの氏神として信仰される。
主祭神は「天牟羅雲命(あまのむらくものみこと)」と「蛭子命(ひるこのみこと)」。天牟羅雲命は天上から水を持ち帰ったとされる水(飲み水)の神様。蛭子命は、伊耶那岐命(いざなぎのみこと)と伊耶那美命(いざなみのみこと)との間に生まれた神。右手に釣り竿を持ち、左手に鯛を抱える七福神の一人「恵比寿」神と習合・同一視される。
「導かれてやってくる人が多い」という同神社。この日も地元の人に交じって神奈川など県外からの参拝者も同祭に参列した。
同神社を崇敬する国際的なハープ奏者の速海(はやみ)ちひろさんも「導かれてきた」一人。高校まで伊勢で過ごした生粋の伊勢人の速海さんは現在、京都をベースに世界で活躍する。7月21日にはシドニーで開かれる「第12回世界ハープ会議」に演奏者の1人に選ばれている。この日は速海さんによるハープの奉納演奏もあった。
速海さんは「伊勢で生まれ育ち、伊勢を離れてからは帰省の度に欠かさず伊勢神宮の内宮(ないくう)と外宮(げくう)を参拝していたのに、あこねさんのことは全くと言っていいほど気にしていなかった。ハープ奏者として活動するようになって、2年前ある大切な方から『茜社に行くといいよ』とアドバイスを頂き導かれたように訪れたのが最初。女性宮司の鈴木瑞穂さんからお話をうかがい、ここに来た意味がわかった」と話す。
同神社では、祈祷や神前結婚式なども随時行っている。