10月5日から6日にかけ日本列島を襲った台風18号による高潮で、二見興玉神社(伊勢市二見町)の境内に設置されていた石のカエルが海に転落した事件について、その後を追った。
台風18号は、夫婦(めおと)岩に掛かる5本の大しめ縄全てを切った。大風と高潮は、社殿や社務所を安全に囲い城壁のように積み上げられた石積みをも動かした。石のカエルはその石積みが動いた結果、約3メートルの落差のある海へひっくり返りながら水没。さらにその岩が海に落下しその岩につぶされず、挟まれ身動きが取れない危険な状態になっていた。
同10日に決行された「カエルの救出大作戦」では、作業員4人とクレーン車1台が任務に就いた。幸い、落下した場所が砂地であったこと、落下の後すぐに崩れた岩がカエルを挟み込んだことにより、その後の波にもまれなかったことなどの「奇跡」が重なり、カエルは外傷を全く受けずに済んだ。救出されたカエルは、その後の19号台風などの接近などを配慮し、すぐに設置せず別の安全な場所で養生していた。
石積みを修理ししっかりとした土台が完成すると11月8日、石のカエルはこれまでと変わらぬ憎めない顔で参拝者を見守るように、無事その岩の上に着座した。
第一発見者で同神社の岡みどりさんは「ひっくり返ったカエルさんが無事帰ってきてくれてとてもうれしい。さらに親しみを持てるようになった」と笑みを浮かべながらカエルの頭を優しくなでた。