真珠を作るために養殖するアコヤ貝(真珠貝)の貝柱が希少価値の高い高級食材で珍味であることはあまり知られていない。その貝柱を入れたクリームコロッケ「パールコロッケ(通称「パルコロ」)」を昨年、山崎(志摩市阿児町)が商品化した。
【その他の画像】真珠貝の貝柱を入れたパールコロッケ「パルコロ」
真珠アクセサリー販売や不動産管理などを手掛ける同社。「親せきや知人が真珠養殖をやっているので貝柱の確保は心配ない。当社は真珠の小売業を営んでいるので、もっと真珠を知ってもらいたいという思いで商品化した。伊勢志摩ならでは商品として認知されるようになれば。2月3日には、京都・祇園にテークアウト店『パルコロ祇園店』(京都市東山区)を開いた。多くの人に食べてもらいたい」と同社専務の山崎翔一朗さん。
パールコロッケは、貝柱を2個相当入れた約50グラムのクリームコロッケで原材料の貝柱は志摩産、牛乳は大内山牛乳を使用し全て手作りで作っている。「お試しセット5個入り」(1,404円)、「10個入り」(2,484円)。ネットショップで注文し宅配便(冷凍)にて発送する。祇園店限定のパルコロはボール状にした一口サイズで、1個の貝柱を入れた「5個入り」(900円)。
「世界中の女性の首を真珠でしめて見せる」と明治天皇に直接約束した真珠王・御木本幸吉が真円真珠の養殖に成功したのは1905(明治38)年。今年がちょうど110周年目になる(現在の真珠養殖技術はその2年後の西川藤吉の発明に依る)。伊勢志摩国立公園の中心に位置する英虞湾や五ヶ所湾では今も真珠養殖が盛んに行われている。
一般的にアコヤ貝の貝柱は真珠を取り出した後に出る副産物。勾玉(まがたま)の形をして刺し身やフライなどで食べるとおいしい。昔は真珠養殖業者が年末・年始の挨拶代わりに親戚や近所の人たちに配っていた。当時はそのものに商品価値を見出していなかったが、近年はグルメ志向の影響を受け、人気が高く品薄の状況が続き、価格も高騰している。
御木本幸吉は、外国から要人が来た際、真珠貝のフライでもてなし、遊び心を加えてフライの中に真珠の珠を忍ばせ、食べる直前に客人を驚かせたエピソードが残っている。