真珠を育む海としても知られる英虞湾産の天然アナゴを使った「アナゴ丼」(850円)が3月から、「みきや食堂」(志摩市志摩町、TEL 0599-85-0003)のメニューに加わった。
同店は、賢島(阿児町)と和具(志摩町)を結ぶ定期船の切符売り場として80年以上の歴史を持ち、待合室兼食堂としてうどんやお好み焼きなどの食事を提供する。民宿「和具浦荘」も兼業する。
店主の山本清光さんが前日に仕掛けたアナゴ篭を早朝に引き上げ取ったものをすぐ開き、妻の和江さんが天ぷらにして、特製だしのうどんと一緒に提供する「アナゴ天ぷらうどん」(650円)は、多くの客から「プリプリでおいしく、しかも安い」と地元客を中心に人気を集めていた。「アナゴは頭や骨を取った正味の重さで200グラムを使用する(約250~300グラムのアナゴ1匹に相当)」と和江さん。
「アナゴ丼」は特製のタレを付けて焼いたかば焼きのアナゴをご飯に乗せた丼。英虞湾産の天然モズク酢とアオサのみそ汁、漬物も付く。和江さんは「アナゴ丼には200グラムのアナゴが入るためご飯の中にも焼いたアナゴが隠れている。付け合せの料理は季節によって変わる。お客様の意見を聞きながら少しずつ味が落ち着いてきたが、まだまだ試行錯誤の繰り返し」と微笑む。
昨年の6月から今年の3月まで、清光さんの体調が悪くなり漁に行くことができずアナゴ料理が提供できないでいた。「実は新メニューの『アナゴ丼』は昨年に完成して、これからお客様にどんどん食べていただこうと思っていた矢先だった」と振り返る。その間、アナゴをほかから購入して提供していた和江さんだが「同じ量のアナゴで料理をすると全くの赤字」だということに気付き、仕方なく、アナゴ料理のメニューを外していた。
和江さんは「夫の身体が良くなって、またアナゴ料理を提供できるのが何より(うれしい)。夫からは『(原価)計算ができない』と言われているが、それでお客様に喜んでいただけるなら」と値上げの素振りは全く見せていない。「夫婦が共に健康で、アナゴのように細く長く営業を続けていくことができれば」とも。
そのほかのメニューは、うどん(350円)、月見うどん(400円)、肉うどん(550円)、エビ天ぷらうどん(600円)、エビ天ぷら定食(850円)、アナゴ天ぷら定食(1,000円)。
営業時間は10時~18時。