伊勢・伝統工芸の漆器「伊勢春慶」が復活-3店舗に「証」の看板

伊勢春慶塗りの看板を持つ「新五十鈴茶屋」女将の三橋美恵さん、「とうふや」女将の友美愛さん、「そばの遊行」オーナーの古野尚正さんと伊勢春慶の会村田典子会長

伊勢春慶塗りの看板を持つ「新五十鈴茶屋」女将の三橋美恵さん、「とうふや」女将の友美愛さん、「そばの遊行」オーナーの古野尚正さんと伊勢春慶の会村田典子会長

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 「伊勢春慶(いせしゅんけい)」の再生・普及活動を行う「伊勢春慶の会」(伊勢市河崎、TEL 0596-29-1285)は9月10日、同会製作の「伊勢春慶」の漆器を使用する3店舗に対し、「伊勢春慶」使用店である証明として、同会のロゴマークが入った伊勢春慶塗りの看板を贈呈した。

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 「伊勢春慶」とは、室町期に伊勢神宮の工匠が造営の残材の払い下げを受けて製作したのが始まりと言われ、箱形の木地に弁柄などで赤く下塗りした上に透明な春慶漆を施したもの。「紅春慶」としても知られ、江戸時代の末ごろから伊勢の名産品として広く全国に流通した。明治から昭和にかけて箱物や膳などが大量に生産され、全国に「伊勢春慶」の名が知れ渡ったが、昭和30年代から生活様式の変化とプラスチックの普及により、次第に敬遠され衰退。近年、ライフスタイルの回帰とともにその良さが再認識され、「伊勢春慶の会」「伊勢工芸指導所」によって再生活動が行われている。

 同会は2004年5月に伊勢春慶の再生を目的に設立、同年「伊勢春慶と常滑焼のジョイント展」、昨年伊勢河崎商人館「伊勢春慶や」を開店するなど、「新商品の開発」「古い春慶の修復・塗り直し・保存」「技術の継承・育成」「調査・研究」を主な事業としている。9月15日に開催される「全国町並みゼミ」伊勢大会では「ものづくりとまちなみ」の分科会を担当する予定。会員数は約20人。

 看板の贈呈は、「伊勢春慶」の普及と使用店舗である証として認知してもらうことを目的にしたもの。看板は「伊勢春慶」と彫られ、木曽ヒノキ材を使用し伊勢春慶塗りで仕上げた。長さ45センチ×幅11.5センチ×厚さ2.5センチ。贈呈された店舗は、五十鈴川川畔で豆腐料理を提供する「とうふや」(宇治浦田町、TEL 0596-28-1028)、今年7月オープンした500坪の複合店舗「新五十鈴茶屋」(宇治浦田町、TEL 0596-25-2666)、昨年6月オープンした毎日石臼で厳選した玄そばをひいて麺を打つ「そばの遊行(ゆぎょう)」(河崎、TEL 0596-27-3200)。

 「とうふや」女将の友美愛さんは「会が設立されたすぐに、田楽箱や弁当箱を作っていただいた。木のやわらかみと色合いが田楽味噌や豆腐とマッチしてとても気に入っている。『伊勢春慶』であることをできるだけ説明しお客様にも評判がいい。プラスチックや陶器と違い傷がつかないように手洗いし、大切に使っている」と話している。

伊勢春慶の会全国町並みゼミとうふや新五十鈴茶屋

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