鳥羽水族館(鳥羽市鳥羽)に1月9日、「オモテウラのないヒラメ」が入館した。
通常ヒラメは、体の表面が砂地模様で裏面が白色。表面には3つの大きな黒点があるのが特徴。養殖されたヒラメでは裏面の白色がまだら模様になる。同ヒラメは、両面に砂地模様があり裏面も表面と同じように3つの黒点がある。一見するとどちらが表か裏か分からない。
同ヒラメは1月6日15時ごろ、多気郡在住の北村航大さんが鳥羽市安楽島町の沖合、加布良古(かぶらこ)水道北東の菅島沖・水深約30メートルで釣り上げたもの。全長43センチ、体重約0.9キロ、雄・雌は不明。
同館広報担当者は「昨年は黄金色のヒラメが持ち込まれたが、今回のようなヒラメが持ち込まれることはまれで、全身が砂地模様になっている個体は大変珍しい。なぜこのような体色になったのか、色素の異常や遺伝子関係などが考えられるが、はっきりとした原因は分からない」と話す。
魚の生態に詳しく、伊勢志摩の自然豊かな環境を使った体験型プログラムなどを提供する「伊勢志摩里海学舎」(志摩市阿児町)の今泉久祥さんは「人工的に養殖され、放流されたヒラメは裏面が黒くなるが、このように表面と同じ模様になることはあまりない。天然のヒラメではとてもレアなケース。そもそも魚は人と同じように左右対称のため、ヒラメの左右非対称はかなり異常なこと。ヒラメは子どもの時、裏面にも目があるが、成長と共に表面へ移動する。同じように子どもの時、模様の元となるものが裏面にもあるが、成長とともに消滅することが知られている。今回のヒラメは消滅せずに残ったため、裏面にも模様が出たと考えられる。私たちにとっては裏面にも模様があることが普通かもしれない」と説明する。
同ヒラメは、同館の「Kコーナー へんな生きもの研究所」内で展示する。
開館時間は9時~17時。入館料は、大人=2,500円、小人=1,250円、幼児(3歳以上)=630円。