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伊勢神宮の専用水田で田植え 大雨と大風の中でも古式ゆかしく

伊勢神宮の専用水田で田植え 大雨と大風の中でも古式ゆかしく

伊勢神宮の専用水田で田植え 大雨と大風の中でも古式ゆかしく

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 伊勢神宮の専用水田「神宮神田」(伊勢市楠部町)で5月13日、大雨と大風の中「神田御田植初(しんでんおたうえはじめ)」が行われた。

【その他の画像】大雨と大風の中とり行われた伊勢神宮神田での田植え

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 鎌倉時代から行われていたとされる同祭は、一時中絶した時もあったが1889(明治22)年に神田を再興し、1924(大正13)年から今に至るまで続けられている。日本神話「天孫降臨」でアマテラスが高天原で行なっていた稲作を子孫のニニギに託したことから、「稲作・米作り」を尊んでいる。

 この日は、朝から降り続く大雨に風が強く吹くあいにくの天気。それでも例年と変わることなく古式ゆかしく田植えが行われた。水中には、雌が雄の背中に卵を産んで育てる水生昆虫の「コオイムシ」の雄が、出会うべく雌のために背中をきれいに整えるかのように水底と水面を行ったり来たり泳いでいた。コオイムシは農薬散布などが影響し、姿を消しつつある。

 神田御田植初は、2人の奉仕員が早苗を3列植え、子持帷子(かたびら)に烏帽子、青いたすき姿の男10人と、菅笠に白衣、赤いたすきをかけた女10人が交互に並び、早苗を手で植えていく。その間、笛や太鼓で田楽を演奏する。

 早苗を植え終わると、手に竹扇を持った男10人が東西に整列し、「ヤア」と掛け声を掛け合いながらイナゴを払う動作を行う。水田の中では大黒と恵比寿の絵が描かれた大団扇(ごんばうちわ)を持った2人が団扇合を行いながら3回まわり、豊作を祈った。

 神饌(しんせん)として奉納したり、神饌の中の酒などの原料として使用する米を栽培する神田。約10ヘクタールの面積の内の約3ヘクタールの水田にうるち米ともち米を栽培、そのほか保存品種として伊勢神宮に奉納したコメから発見された新種「瑞垣(みずがき)」の原種、瑞垣1号、2号、3号、瑞垣糯を栽培する。

 4月の「神田下種祭(しんでんげしゅさい)」、5月の「神田御田植初」、9月の「抜穂祭(ぬいぼさい)」が一連の稲作に関する祭典で、地元楠部町「神宮神田御田植祭保存会」の会員が代々受け継いでいる。

 日本神話に登場するサルタヒコを祭る猿田彦神社(伊勢市宇治浦田)で5月5日に行われたお田植え祭り「御田祭(おみた)」、神宮神田の「神田御田植初」、伊勢神宮別宮「伊雑宮(いざわのみや・いぞうぐう)」(志摩市磯部町)で6月24日に行われる「御田植祭(おみた・おたうえさい)」がとり行われると伊勢志摩地方に夏がやってくる。

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