伊勢神宮125社で執り行われている「神嘗祭(かんなめさい)」で10月15日~17日の3日間、天皇皇后両陛下の長女・黒田清子さんが神宮祭主となって初の祭典奉仕を行った。
五穀豊穣(ほうじょう)、国家繁栄、世界平和を願う神嘗祭は、今年の初穂(新穀)を神にささげ感謝する祭典で「神嘗正月」「神宮の正月」とも呼ばれ、伊勢神宮で執り行われる年間1600余りの祭典の中で最も重要とされる。10月15日から25日までに正宮、別宮、摂社、末社125社で執り行われる。
6月19日付で伊勢神宮祭主となった黒田さんは、内宮(ないくう)で15日17時から無事に祭典が行われるようにと「興玉神祭(おきたましんさい)」、神職が祭典奉仕をしてもいいかどうかを占う「御卜(みうら)」、同日外宮(げくう)で22時から、アワビや伊勢エビなど約30品目の神饌(しんせん)が並ぶ「由貴夕大御饌祭(ゆきのゆうべのおおみけさい)」を。16日2時からは「由貴朝大御饌祭(ゆきのあしたのおおみけさい)」、12時から天皇陛下からの幣帛(へいはく)を奉納する「奉幣(ほうへい)」、18時から「御神楽(みかぐら)」、続いて16日~17日にも内宮で一連の同じ祭典が執り行われる。
黒田祭主が3日間奉仕した祭典は、3日とも雨だった。日本文化を伝え実践するセミナーなどを企画・開催するNPO法人五十鈴塾(伊勢市宇治浦田)の橋爪貴子さんは「3日間とも雨だったことはこれまで記憶にない。新祭主となってのお清めの雨、恵みの雨」と笑みを浮かべる。
神嘗祭を奉拝するために訪れたという東京都江戸川区在住の尾澤かほるさんは「黒田祭主のお姿を拝見して感動して涙が出た。故郷に帰ってきたような感覚で、ホテルに帰ってからも涙が出続けた」と感想を話した。
黒田さんは、2012年4月26日から2013年10月6日まで臨時祭主に就任し、当時祭主だった天皇陛下の姉・池田厚子さん(祭主就任期間=1988年10月28日~2017年6月19日)の下、第62回神宮式年遷宮に関連する祭典奉仕などを補佐された。