伊勢神宮や伊勢志摩の文化についての講演や執筆活動を行う文筆家の千種清美さんが3月1日、「三重 祭りの食紀行」(風媒社)を出版した。
明和町在住で皇学館大学(伊勢市神田久志本町)非常勤講師や明和町観光大使などを務める千種さんは、NHK津放送局アシスタント、三重の地域誌「伊勢志摩」編集長を経て、文筆家として活動する。著書は「伊勢開運手帳」(Simple編集部)、「女神の聖地、伊勢神宮」(小学館新書・全国学校図書館協議会選定図書)など。
同書は、「餅」「海魚」「海藻」「伊勢神宮の神饌(しんせん)」「神宮の御料地」について解説する内容。
千種さんは「伊勢神宮、式年遷宮などの祭典、各地に伝わる祭りを通して、先人たちは何を供え何を食べてきたのかと考えるようになり、祭りを切り口とした食について調べるようになった」と出版のきっかけを話す。
千種さんは、宇気比神社(志摩市浜島町)の弓引き神事の「盤の魚(ばんのうお)」というボラの包丁式のいわれについて調べ、二見興玉神社(伊勢市二見町)の夫婦岩(めおといわ)から先の神前(こうざき)海岸の伊勢神宮摂社・神前神社の潜島(くぐりしま)の大潮に行われる祭り「神前普請」に出る2種類のアラメについて考察する。
千種さんは「今年、鳥羽の神島で続けられてきた『ゲーター祭り』が休止した。全国各地の祭りが急激に衰退し、無くなろうとしている今、調べられることは調べておかなければと危機感が募っている。この本を手に取って祭りの食が注目されるとうれしい。そして食に携わる人によって、おいしいとか新鮮というだけでなく、食の持つ地域性をも掘り下げてもらえれば」と期待を寄せる。
A5判並製、カラーグラビア含み122ページ。価格は1,080円。Amazon、三重県内の書店などで取り扱う。