G7伊勢志摩サミットのメイン会場となった賢島や「宝石の島」といわれた間崎島など多くの島々が浮かぶ英虞湾を一望する横山展望台(志摩市阿児町)に8月5日、「横山天空カフェテラス」がオープンした。
「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」に1つ星の評価を受ける同展望台は、標高203メートルの横山にあり、真珠いかだ浮かぶリアス海岸の英虞湾の入り組んだ地形が目の前に広がる。直線距離で200キロ以上離れる富士山や水平線から上がる日の出、冬にはだるまの形に太陽が変形して見える「だるま朝日」などが観測できるなど伊勢志摩を代表する観光スポットとしても人気が高い。2016年に開催された「G7伊勢志摩サミット」終了後、訪れる観光客がさらに増加している。
環境省は、日本の国立公園を世界の旅行者が長期滞在したいと憧れる旅行目的地にしようと「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定。まず「阿寒摩周国立公園」「十和田八幡平国立公園」「日光国立公園」「伊勢志摩国立公園」「大山隠岐国立公園」「阿蘇くじゅう国立公園」「霧島錦江湾国立公園」「慶良間諸島国立公園」の8カ所の国立公園を対象にインバウンド対応の取り組みを計画的・集中的に実施する。2020年の訪日外国人旅行者数を4000万人とする国の「明日の日本を支える観光ビジョン」に基づき、日本の国立公園を世界水準の「ナショナルパーク」としてブランド化することを目指して2020年までに訪日外国人の国立公園利用者数を1000万人に増やそうと(2015年は490万人)、「国立公園満喫プロジェクト」を立ち上げた。
「国立公園満喫プロジェクト」の一環として、横山展望台にある5カ所の展望休憩所の内3カ所を「横山天空カフェテラス」(木造2階建て、建築面積138 平方メートル、高さ7.8メートル、延べ面積148平方メートル、展望テラス約150平方メートル)、「木漏れ日テラス」(面積約83平方メートル)、「そよ風テラス」(面積約99平方メートル)としてネーミングし改修。
「横山天空カフェテラス」には三重県産ヒノキを使用、従来よりも英虞湾側に展望デッキを張り出した。休憩所内には、志摩地中海村(志摩市浜島町)によるカフェコーナー「Mirador Shima(ミラドール志摩)」を併設。「勝っお(鰹)ばーがぁー」(400円)、ハートのカプレーゼアカモクソース」(240円)、「あかもくアイス」(390円)、「真珠 塩サイダー」(350円)など志摩産の食材を使ったテイクアウトメニューを用意した。
そのほかに、同展望台までの車道が狭く、駐車場スペースが少なかったことなどが問題となっていたことを解消し、車道を3.5メートルから4.0メートルへ拡幅、駐車場スペースを14台から28台に拡張すると共に、遊歩道やスロープの改修など総額約9億円を掛けた。
同省中部地方環境事務所国立公園課の福井智之課長は「車道を4メートルに拡張し、合わせて待避スペースも増やした。駐車場スペースの確保には直立擁壁(ようへき)を使用し国立公園内なので、できるだけ樹木を切らないように配慮しながら工事した。大型観光バスは無理だが、マイクロバスでの乗降はこれまでよりも楽にできるようになった」と話す。
この日開かれたオープン式典には、環境大臣政務官の笹川博義さんや三重県知事の鈴木英敬さんらが出席。鈴木知事は「G7サミット会場を一望することができる展望台は世界中でもここだけだと思うので、多くの人に訪れてほしい」と呼び掛ける。