志摩市志摩町片田出身でフランスで大成した洋画家「平賀亀祐(かめすけ)」画伯の絵画などを展示する「平賀亀祐展」が10月11日から、「平賀亀祐記念館」のある「志摩市絵かきの町・大王 美術ギャラリー」(志摩市大王町)で開催されている。
平賀(1889年~1971年)は、絵の勉強のため1906(明治39)年に三重県移民として渡米。苦学の末1925(大正14)年に渡仏し1926(昭和元)年、最も権威のあるフランスの官展「ル・サロン」に「扇を持てる婦人」(神宮徴古館所蔵)を出品し初入選を飾る。パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラック、藤田嗣治らと交友関係があり、アメデオ・モディリアーニの作品「赤い首巻のマリー」は平賀の妻マリーを描いたもの。その後、同展において1934(昭和9)年に銅賞、1938(昭和13)年に銀賞、1954(昭和29)年に「古い巴里(パリ)の街角」が日本人として初めて金賞とコロー賞(風景画部門の金賞1位)を受賞。同年フランス政府より日本人画家として初めて美術文化勲章を授与される。1955(昭和30)年に帰国し、1970(昭和45)年自叙伝「一本の釘(くぎ)」を発刊。1971(昭和46)年、パリ国際美術協会の副会長に就任するも、その年の11月5日にパリの自宅で83歳で永眠する。勲三等旭日(きょくじつ)中綬章受賞。第1回三重県民功労者。
同記念館は、平賀の功績をたたえ、画業で成功をするという決意をつづった自叙伝「一本の釘」の精神を多くの人に伝えようと2011年4月に開館。所蔵する平賀の作品のほか当時使用していた画材道具やトランクなどを常設展示する。
「平賀亀祐展」は常設展と合わせて、平賀の最大の支援者で高知県出身の故・井澤正三さんの遺族の中田睦美さんや平賀の親族の平賀菊栄さんから寄贈された作品や、市が所蔵する作品など計30点を展示。唯一の自画像だといわれる貴重な一枚も飾られている。
開館時間は9時~17時(最終日は16時閉場)。火曜・水曜休館。今月22日まで。