三重県立志摩病院(志摩市阿児町)小児科部長の松林信幸さんが2月21日から、水墨画展「エチオピアに生きる~水墨画で描く人々の暮らしとこころ~」を大王美術ギャラリー(同大王町)で開催している。
松林さんは松阪市出身で京都大学理工学部を卒業後、病気を患ったことをきっかけに三重大学(津市)医学部に入学し医学の道を志す。三重大学が国際協力機構(JICA)への協力を積極に行っていたことから卒業後、ザンビア共和国で約3年半、タンザニア連合共和国で約4年半、感染症サーベイランス(感染症発生動向調査)や医療業務などを行う医師として派遣、その後志摩病院に小児科医師として着任したが、7年経過後の2010年4月からJICAの活動に参加。エチオピア連邦民主共和国アムハラ州で感染症サーベイランスを行い感染症対策のシステム作りを行ってきた。約2年間の活動後、再び志摩病院で7年間子どもたちと向き合い、今年4月から町立南伊勢病院(度会郡南伊勢町)に移る予定。
同展は、エチオピアでの活動時に、記録として描き始めたが次第にエチオピアの人々に魅了され、人々の優しさや慎み深さ、生活感を伝えることができないかと思い、これまで描いた作品の中から65点を展示する。最大の横2メートル、縦1.15メートルの作品は3~4カ月掛けた。
志摩を旅行中の大阪に住む中条玲子さんは、奈良に住む家族と同ギャラリーを訪れた。中条さんは2010年6月から2012年6月まで海外青年協力隊メンバーとして農業支援のためにエチオピアのオロミア州デブラゼイトにいたという。「同時期にエチオピアにいたことや共通の知人がいたことに驚いた。賢島で偶然ポスターを見て来たが、人々の生き生きとした生活感が力強く伝わってきて、当時の(私の)エチオピアでの活動がフラッシュバックした」と感想を述べた。
松林さんは「エチオピアでは移動や待ち時間も多く、その時間に持参した墨と筆でコピー用紙に描いたのが始まり。初期の頃はカルテの隅にも絵を描いていた。帰国してからも描き続け今では200点以上描いているのでは…。現地での画材の調達は難しく、結局墨だけで描いたので白黒の作品になったが、それが反対に良かったのかも。少しでも多くの人にエチオピアの人々や生活感が伝われば」と話す。
開館時間は9時~17時。火曜・水曜休館。入場無料。3月18日まで。