二見興玉神社(伊勢市二見町)の「夫婦(めおと)岩」の令和最初となる大しめ縄の張り替え神事が5月5日、同神社境内で行われた。
同社は、日本神話「天孫降臨」で、邇邇芸尊(ににぎのみこと)らを、高天原と豊葦原中津国の間で道案内を務めたとされる猿田彦大神を祭る。
夫婦岩は、1本の長さ約35メートル、太さ約10センチ、重さ約40キロの大しめ縄を5本が男岩(おいわ)と女岩(めいわ)を結ぶ。大しめ縄は、夫婦岩の沖合約700メートル先の海中に鎮座する猿田彦大神ゆかりの興玉神石(おきたましんせき)と夏至の日前後に夫婦岩の真ん中から現れる朝日・太陽(太陽神)、朝日と重なる霊峰富士山を仰ぎみる「鳥居」の役割を果たしていると言われている。毎年5月5日と9月5日、12月の3回「大注連縄張(おおしめなわはり)神事」が行われる。
この日は快晴で大潮。祭典が始まる10時には潮が引き男岩と女岩が水面から完全に顔を出した。空には太陽に虹の輪・日暈(ハロ)がかかっていた。10時30分ごろ、おはらいを受けた大しめ縄が社殿から運ばれると、夫婦岩まで参拝者らと共に1本ずつ手渡しで送り、氏子らが男岩と女岩に登って丁寧に結んだ。
張り替え神事に参加した名古屋市在住の別府勝さんは「娘が伊勢に嫁いでいるのでゴールデンウィークの休みに遊びに来て家族で参拝に訪れたら、たまたま張り替え神事の日だったので驚いた。テレビではよく見ていたので率先して参加した」と微笑む。
同社の金子清郎宮司は「令和元年、新帝のご即位をお祝いし、国の安寧(あんねい)を願い、新しい御代も皇祖神の天照大御神(あまてらすおおみかみ)を導いた猿田彦大神さまのように我々も日本を、世界を、いい方向に導いていきましょう」と話す。
同社では5月から7月、夫婦岩の間から朝日が出る。特に夏至前後になると富士山と朝日が重なって夫婦岩の間から現れるため大勢のカメラマンが詰め掛ける。