天皇陛下の即位に伴い、10月22日に行う「即位の礼」と11月14、15日に行う「大嘗祭(だいじょうさい)」の期日を皇祖神・天照大御神(あまてらすおおみかみ)に奉告する臨時祭「即位礼及び大嘗祭期日奉告祭」が5月10日、伊勢神宮で執り行われた。
同祭は、5月8日に皇居・宮中三殿で行われた「期日奉告の儀」、伊勢神宮や神武天皇陵などに奉告する勅使を派遣する「勅使発遣の儀」を受けた一連の即位に関連する儀式。昭和から平成への御代替わりの1990(平成2)年1月25日にも同様に伊勢神宮で行われている。
この日、外宮・豊受大神宮(とようけだいじんぐう)で神饌(しんせん)を奉納する「大御饌(おおみけ)」が早朝4時から、天皇陛下から送られた5色の絹や数種の織物「幣帛(へいはく)」を奉納する「奉幣(ほうへい)」が7時から、同様に内宮・皇大神宮(こうたいじんぐう)で11時から「大御饌」、14時から「奉幣」が、それぞれ執り行われ、天皇陛下の即位と「即位の礼」「大嘗祭」を行う期日を奉告した。
「奉幣」では、「幣帛」の入った辛櫃(からひつ)の後を、衣冠(いかん)と呼ばれる黒の平安衣装をまとった天皇陛下の命を伝える使者「勅使」が、緋(ひ)色の浅沓(あさぐつ)、白衣・緋袴(ひばかま)の装束の天皇陛下の妹で上皇上皇后陛下の長女の黒田清子祭主が続いて、小松揮世久(きよひさ)神宮大宮司、神職らと共に参進し正宮(しょうぐう)まで進んだ。
勅使は1メートル弱の太刀を腰に差して臨み、通常の奉幣では見られない光景に参拝者らも興味深く、カメラやスマホを向けて撮影していた。
神宮の広報課長の音羽悟さんは「洞院公賢(とういんきんかた)が書いた日記『園太暦(えんたいりゃく)』(1311年2月~1360年3月)にも『即位礼及び大嘗祭期日奉告祭』のことが記されているので歴史は古く、おそらく奈良時代から続いているのでは。この臨時祭のことを『由(よし)の奉幣』とも呼ぶ」と説明する。
同祭は伊勢神宮125社で5月16日まで行われる。