6月13日、伊勢・二見興玉神社(伊勢市二見町)夫婦(めおと)岩の大しめ縄の真ん中から富士山と朝日が重なる「王冠富士」が梅雨時にも関わらずくっきりと姿を現した。
【その他の画像】夫婦岩の大しめ縄の間から太陽と富士山が重なる「王冠富士」
伊勢志摩から直線距離で200キロ以上離れる富士山が観測できるのは、雲がなく水蒸気の発生が少ない冬場の方が条件は良い。夏場に観測できる確率は極めて低い。太陽と富士山が重なる位置から観測できれば、薄い雲がある程度なら太陽の光を受けて富士山の輪郭がくっきり浮き上がる。
同神社の海岸に浮かぶ夫婦岩の中央に朝日と富士山が少しでも重なるのは6月初め~7月初めごろ。さらに富士山が王冠をかぶったように見える「王冠富士」が夫婦岩の間から現れるのは6月10日~15日と6月28日~7月2日の期間だけ(多少の誤差は生じる)。しかし梅雨時とも重なるため雨の日が多く、富士山はおろか朝日が出ることも少ない。
この日は、王冠富士と夫婦岩を撮影しようと神社の境内には約50人が詰め掛けていた。撮影に成功した伊勢志摩経済新聞のカメラマン泊正徳さんは「今日しかチャンスはないと思い、家を2時過ぎに出発したが、厚い雲が水平線にあったので、駄目かもしれないと半ば諦めかけていたところに、くっきりと赤い太陽の上昇と共に、富士山が現れた。無我夢中でシャッターを切った。現場に行ったものだけが味わえる幸福感は格別」と話す。
伊勢・二見興玉神社恒例の「夏至祭」は6月22日。夫婦岩の大しめ縄の前ではふんどし姿の男性と白装束を着た女性がみそぎを行う。