今年1月、3月の2場所を十両優勝し、5月場所で新入幕を果たし10勝5敗で勝ち越し「敢闘賞」を受賞した志摩ノ海関が6月15日、凱旋(がいせん)帰郷し、地元後援会(山下弘会長)主催の激励会がホテル&リゾート伊勢志摩(志摩市磯部町)で行われ大きな祝福を受けた。
志摩ノ海関は、志摩市志摩町出身、本名=浜口航洋。志摩市立布施田小学校、志摩市立和具中学校(志摩町)、明徳義塾高(高知県)、近畿大学(大阪府)体育会相撲部を卒業後、木瀬部屋(東京都墨田区)へ入門。2012年5月、「浜口」として初土俵を踏み、2016年5月場所で勝ち越し、新十両に昇進した。四股名の志摩ノ海は「自分が勝つことで志摩市を全国にアピールしたい」と志摩市の「志摩」と師匠の木瀬親方(元前頭「肥後ノ海」)の「海」からとった。
激励会には、木瀬部屋の親方・木村瀬平さんや元JリーガーでサッカーチームFC伊勢志摩の理事長を務める小倉隆史さんも駆けつけ、志摩市からは竹内千尋志摩市長から感謝状が、JA伊勢(度会郡度会町)からは鳥羽志摩産のコメ「志摩そだち」1俵がそれぞれ贈られた。
小倉さんは「試合後、勝ち負けあるがどんな結果があるにせよ反省した後は忘れること。反省、課題にとらわれていると本来の自分を見失う怖さがある。15日間一番一番の取り組みにおいて体調を管理し先場所以上の活躍を期待しています」と激励した。
志摩ノ海関は「小倉理事長に言っていただいたように、今の自分の相撲も同じように一日終わったら忘れる、また次の日の取り組みに臨む。その繰り返し。このように多くの人に応援していただき、来場所も土俵で結果を出せるようにがんばりたい」と話す。
一方、志摩ノ海の基礎を作ったのは、三重高校(松阪市)の相撲部で長年コーチを務めた伊勢市小俣町出身の小林利博さんが私財を投じて建てた「志友館相撲道場」(志摩市磯部町)での日々の練習。志摩ノ海関は小学4年から中学卒業までの6年間、志友館に通った。
志友館コーチの山本真二さんは「航洋のお父さんと仲が良く航洋が小さい時から稽古をしていた。とにかくスタミナがあった。ばてることがなく、へこたれなかった。今も変わらない強さが結果に現れたのでは」と話す。同じくコーチの河村昭さんは「志友館に入ってきた時はとても強かったが、四股(しこ)踏みやすり足など相撲の基礎練習を徹底すると、弱くなった。理由はそれまでは振り回す相撲だったから。基礎がしっかり身につくと、前へ出る相撲でどんどんと頭角を現していった。真面目でスタミナがあった」と当時を振り返る。