鳥羽国際ホテル(鳥羽市鳥羽、TEL 0599-25-3121)が1月1日から、「人気の売れないチーズケーキ」を利用した新商品のパン「シュクレフロマージュ」の販売を始めた。
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皇室関係者や海外からのVIPが利用する同ホテルは、1964(昭和39)年創業。昭和天皇・皇后両陛下は1971(昭和46)年に、上皇・上皇后陛下は1973(昭和48)年、2001(平成13)年の2回、今上陛下は1987(昭和62)年、1994(平成6)年、2007(平成19)年、2008(平成20)年の計4回(皇太子時代に3回)宿泊した。1975(昭和50)年には英国エリザベス女王陛下、エディンバラ公フィリップ殿下、2005(平成17)年には露ゴルバチョフ元大統領らも利用した。「ミシュランガイド愛知・岐阜・三重 2019 特別版」では4パビリオン(4つ星)を獲得している。
新商品のパンは、チーズケーキを作る過程で、焼きむらや小さな割れ目など、見た目で商品化できないチーズケーキのクリームチーズの部分を取り出し生クリームなどを加えて、デニッシュ生地の上にのせ、さらにその上にキビ糖を振り掛けて焼き上げた。「誰一人取り残さない」持続可能な社会の実現のために17の国際目標と169のターゲットを定め2030年の達成を目指す国連の「SDGs(エスディージーズ)」(Sustainable Development Goals)の12番「つくる責任つかう責任」を意識して開発した。
同ホテルのチーズケーキは創業間もない時から提供し、当時からのレシピを忠実に守りながら作り続けている商品で、50年以上の歴史を持つ。モンドセレクションでも、2015(平成27)年から3年間連続金賞、2018(平成30)年から2年連続最高金賞を受賞。注文に対応するため常にストックを切らさないように毎日100台以上を焼く人気商品となっている。
ベーカリー料理長の竹村一彦さんは「チーズケーキを作る過程で数%の割合で販売できないものが出ていた。社長からSDGsを意識しフードロス削減のために再利用することを考えるようにとミッションを頂き、チーズケーキの味を生かしながら、ベーカリーの若い従業員と考え、試作を繰り返してできたのが『シュクレフロマージュ』。入社2年目の稲垣亮さん(津市出身)のアイデアから生まれた」と説明する。
雀部優(ささべまさる)社長は「親会社の三井不動産は早くからSDGsへの取り組みを行っているので、われわれもできることから始めようと、食材ロス問題に取り組んだ。今後もSDGsへの取り組みを推進していく」と力を込める一方、「実はチーズケーキよりもおいしくなってしまって困っている。ベーカリーで焼くパンの中で今、自分の一番のお気に入りになってしまった」とほほ笑む。
竹村さんは「毎日10個前後しか焼けず数に限りがあるので申し訳なく思うが、一度試していただければ」とも。
価格は216円。チーズケーキは、プレーン=3,996円(7号21センチ、木箱入り)。ベーカリーの営業時間は8時~20時。