賢島に本校がある通信制高校「代々木高等学校」(志摩市阿児町、TEL 0599-43-6177)の卒業式が3月8日、同校大講堂で行われた。
東京、名古屋、大阪に拠点を置き、全国40以上のサテライト校のほかオーストラリアやカナダなど海外でも日本の高校に通える環境を整備する同校。賢島は真珠いかだ浮かぶリアス海岸の英虞湾の中央に位置し、2016(平成28)年にG7伊勢志摩サミットが開催された。
同校の今年の全卒業生は245人で、賢島本校の卒業式には、賢島本校生徒22人と大阪本部生徒1人の計23人(卒業予定者は29人)が参加した。卒業生たちは、3年生の総合学習の授業で志摩市の地場産業である真珠養殖業について学び、真珠に穴を開けて作ったオリジナルの真珠のペンダントを胸に着け、この日の卒業式に臨んだ。
この日は、新型コロナウイルスの感染拡大を心配し卒業生とその家族だけの出席での卒業式となった。一色真司学校長から卒業証書を受け取ると、卒業生はマイクに向かって親への感謝や3年間の思い出などを言葉にした。
3年間、鳥羽市の旅館「浜離宮」(鳥羽市鳥羽)で働きながら高校生活を送った兵庫県小野市出身の原口英上(ひでたか)さんは、在学中に調理師免許を取得し、朝6時からの就業時間に3年間無遅刻で臨んだ。原口さんは「中学の時に両親に料理を作ったら喜んでくれたことから、人に喜んでもらえる仕事として料理人を目指して代々木高校の『伊勢志摩料理人コース』を選んだ。おかげさまで卒業することができ、仕事も今までさせてもらえなかった仕事を任せていただけるようになり、やり甲斐を感じている。もっと料理の勉強をし、さらに上を目指していきたい」と話す。
志摩市出身で卒業生代表あいさつを務めた山本真守(まもる)さんは皇学館大学の文学部に進学。山本さんは「不登校だったが、この学校に来て自分を変えることができた。高校3年生の時にSBPというイベントに参加したことがきっかけだった。不登校の人たちと一緒に農業や漁業をやってみようとするプロジェクトを大学に行ったら立ち上げたい。自分が不登校だったからできることだと思うから。今、全てに感謝します」とあいさつした。