伊勢神宮内宮(ないくう)宇治橋前の大鳥居正面から6月5日19時10分ごろ、まん丸の幾望(きぼう)の月が現れ、宇治橋を照らした。
この日この地方の月の出時刻は約18時30分。大鳥居正面に満月が入るのは19時10分ごろ。標高約367メートルの島路山が宇治橋前正面にあるため月が現れるのは月の出時刻から約40分後。伊勢市や志摩市在住のカメラマン約10人が大鳥居前で月が出るのを待っていた。
残照に紺碧の空が際立ち、やや雲はあったものの、月は大鳥居の左から右に少しずつ高度を上げながらのぼっていった。カジカの澄んだ声が鳴き渡る五十鈴川からの爽やかな風が吹く中、天体ショーが始まった。
伊勢市内在住の40代女性は「冬至にはたくさんの人が宇治橋の日の出を拝みに来るが、夏至のころの満月が宇治橋から上がるとは知らなかった。携帯電話のカメラでフラッシュを消す方法を教えてもらいながら撮影した」と話す。
神宮では、皇室の安泰と国家の安寧(あんねい)、国民の平安を祈念し、新型コロナウイルス感染症の一日も早い終息を日々祈り続けている。
伊勢神宮は現在、参拝時間を6時から15時までに時間短縮。手水舎のひしゃくを撤去し流水式の手水に変更、内宮・外宮(げくう)の御垣内(みかぎうち)参拝の停止、祈祷の停止、お神札(ふだ)・お守などの授与所の窓口縮小、御朱印帳への記帳を休止し、御朱印紙(書き置き)にて対応する。伊勢市営駐車場は、内宮Aは閉鎖、内宮Bは6月1日から再開した。