海の博物館(鳥羽市浦村町、TEL 0599-32-6006)の特別展示室で9月19日から、水産缶詰を集めた企画展「あなたの知らない水産缶詰の世界」が始まった。
一般的なツナ缶やサバ缶のほか、全国で作られている変わり種ご当地缶詰やクジラ缶、アニメとのコラボ缶詰や進化系缶詰、三重県立水産高校(志摩市志摩町)で高校生たちが実習で作った缶詰、世界で作られている缶詰など、中身を海産物に限定した約300種類の缶詰を集めた同展。
同展担当の懸(あがた)拓也さんは「缶詰が発明されるまでは、干す・煮る(干物、煮干し)、燻す(鰹節)、しぐれ煮(アサリなど)・塩蔵・発酵(鮓)などによって海産物を保存・加工してきた。日本における缶詰製造は、1871(明治4)年に長崎県においてイワシの油漬が試作されたことに始まるとされ、その後海外への輸出用や戦時での軍備食として重宝されるようになった。三重県でも、古くから水産缶詰製造が盛んになり、海の博物館初代館長の二代・石原円吉の父である初代・石原円吉が現在の東洋製罐(東京都品川区)の創業者・高碕達之助氏を技師として招き創業した東洋水産などの水産会社が誕生した」と説明する。
そのほか、10月10日「缶詰の日」には「世界一臭い缶詰」といわれているスウェーデンのシュールストレミングを開けて臭いを嗅ぐイベント、10月25日と11月8日には水産高校生によるカツオの解体ショー、11月22日にはオリジナル缶詰を作るイベント、10月25日までの期間に缶詰ラベルデザインコンテストなどのイベントを企画する。
懸さんは「水産缶詰を通して海産物の魅力を再発見し、海洋資源の新たな利用、子どもたちへの海洋教育などについても考える機会となればと思い企画した。僕もまだ未体験の世界一臭いと言われるシュールストレミングも購入し臭いを嗅ぐイベントを企画しているが、すでに缶詰の中で発酵が進んで缶詰が膨らんできている…。多くの人に来ていただければ」と呼び掛ける。
開館時間は9時~17時(12月1日~2月末日は16時30分まで)6月26日~30日、12月26日~30日休館。入館料は、大人=800円、高・中・小学生=400円。12月月13日まで。