志摩市在住の写真家・泊正徳さんが12月2日、富士山が海の上に浮いているように見える写真を撮影した。
【その他の画像】鳥羽市の千鳥ヶ浜から12月2日に撮影した「浮き富士」
日本最高峰・標高3776メートルの富士山。伊勢志摩から直線距離で約200キロ~230以上離れている。机上の計算では、海面0メートル地点から富士山を観測するには山など障害物がなければ半径約223キロまで観測可能だが、実際には大気中の光の屈折があるため、その約1.06 倍となる約236キロ離れた地点からでも見ることができるという。
「宙に浮く富士山」は伊勢志摩の海岸から見たときに、海の上に浮き上がったように見える自然現象のこと。寒くなった冬に、海水と水面近くの空気との温度差によって光が屈折して起こる「蜃気楼(しんきろう)」の一種「浮島現象」によって、富士山が宙に浮いたように見える。観測できるエリアは、日本全国の中でも鳥羽市と志摩市の海抜0メートルの海岸からだけになる。「宙に浮く富士山」を見ることができる最遠は志摩市となる。
1年を通して伊勢志摩からの富士山を撮影する志摩市在住の写真家・泊正徳さんは現在、伊勢志摩から撮影した富士山ばかりを展示する「伊勢志摩から拝(み)る富士山」写真展を大王美術ギャラリー(志摩市大王町、営業時間=9時~17時、火曜・水曜休館)で開催(11月25日~12月20日)している。
泊さんは「今年に入って何度か『浮き富士』を撮影しているが、その時はそれほど寒くはなかった。2日の朝はとても寒かった。指先の冷たさを感じながらシャッターを押し、顕著に浮いた富士山を撮影できるようになると、ようやく伊勢志摩に冬がやってきたなと実感する」と話す。
泊さんは「これまで12年に渡り、富士山を追いかけ、伊勢志摩の16カ所から写した富士山の写真40点を展示する写真展を現在開いているが、見に来ていただいた人には、日本の中で唯一、鳥羽と志摩の海岸からしかみることができないことを強くお伝えしている。全国の富士山写真家の皆さん、ぜひ、伊勢志摩に宿泊していただき、早朝に『浮き富士』を狙っていただければ」と呼び掛ける。