温泉旅館「湯元館 ニュー浜島」(志摩市浜島町出湯、TEL 0599-53-1502)が現在、館内に生け花を飾れる客を無料で招待している。
1985(昭和60)年に敷地内に温泉を掘り当て、温泉旅館として営業する同館。1994(平成6)年に建てた別館「花の館 椿(つばき)」は、日蓮宗身延山湯河原別院(神奈川県)の住職で旅行作家でもある脇田恵暢さんが同院の別名「椿寺」から命名した。開業以来、毎日ツバキの花や葉を中心とした生け花を館内に飾っているという。
招待は、客と一緒に別館を「花の館」にふさわしい雰囲気にしようと、社長の濱口久雄さんが考案。花を生けてくれる客に1泊2食付きの宿泊(1人=3万6,300円相当)をペア無料で提供する。
花を生けてもらう花器は、1階の売店内に設置した直径約1メートル30センチ、高さ約80センチの玄武岩に置いた直径約40センチ、口径約14.5センチの信楽焼の器。花器の口から天井までの高さは約1メートル50センチ。枝ものを中心とした和の雰囲気に仕上げることを条件とする。花材は持参してもらう。月間の参加受け入れペア数は5組程度。三重県内在住の人か花材がしおれないように特別な運搬手段で運んで来られる人に限る。月間の参加受け入れは約5組。
無料招待に応じた客の一人・藪中良二さんは2月11日、黄色の花を咲かせたサンシュユとオブリザタム、白い花を咲かせたコデマリを生けた。藪中さんは「趣味で生け花をたしなんで20年以上になるが、コロナ禍で花を生けるところがなくなり、生ける機会も少なくなったので、久しぶりに生けさせてもらいうれしかった。色を抑え、春を意識してもらおうと『余寒』をテーマに、開いた花とつぼみを選びながら約1週間きれいに咲いてくれるように生けた」と話す。
総支配人の平賀仁章さんは「今のところ3月いっぱいまで予約が埋まっている。ずっと続けていきたいと思っているので、華道経験者もそうでない人も参加してもらいたい。月間賞に選ばれたらもう一度生けるチャンスができる。生け花の経験がない人も参加してくれたが、とてもきれいに生けてくれた。作品はインスタグラムにアップしているので見てもらえれば」と呼び掛ける。
要予約。