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伊勢神宮大宮司・久邇朝尊さん就任会見 陛下の神宮への大御心に誠の心尽くす

伊勢神宮大宮司・久邇朝尊さん就任会見 陛下の神宮への大御心に誠の心尽くす(撮影=加藤直人)

伊勢神宮大宮司・久邇朝尊さん就任会見 陛下の神宮への大御心に誠の心尽くす(撮影=加藤直人)

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 神宮司庁(伊勢市宇治館町)が8月31日、伊勢神宮大宮司に就任した久邇朝尊(くにあさたか)さんの就任記者会見を神宮司庁第一会議室で行った。

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 戦後11人目になる伊勢神宮大宮司に就任した久邇さんは、1959(昭和34)年10月30日英国生まれ62歳。1983(昭和58)年3月に学習院大学法学部を卒業し、同年4月に三菱商事(東京都千代田区)に入社。1995(平成7)年5月~2001(平成13)年12月の期間ドイツ勤務に。2009(平成21)年5月三菱商事フィナンシャルサービス(同)アカウンティングセンター長に就任、2015(平成27)年6月同社監査役就任、2018(平成30)年メタルワン(同)監査役就任、2021年6月同社監査役を退任し、今年7月5日から神宮大宮司に就任した。父・邦昭さんは1990(平成2)年~2001(平成13)まで伊勢神宮大宮司を務め、高祖父の久邇宮朝彦親王は1875(明治8)年~1891(明治24)年まで神宮祭主を務め、1882(明治15)年に皇学館大学(伊勢市神田久志本町)の創設に関わった。前任の小松揮世久(きよひさ)さんは2017(平成29)年7月3日の就任から約5年間の任期を全うした。

 久邇さんは7月5日、皇居にて天皇陛下から神宮大宮司の職を任命され就任。同9日、小松さんと共に伊勢神宮を参拝し神さまに就任報告を行った。8月4日に行われた風日祈祭(かざひのみさい)が初奉仕だった。

 久邇さんは「神宮大宮司の大任を拝命した際、天皇陛下より『神宮の祭祀を宜しく頼みます。身体に気をつけてお勤め下さい』とのお言葉を賜り、陛下の神宮への大御心(おおみこころ)を拝し、責務の重さを感じた。初奉仕にあたって、祭式作法を稽古し、修練を重ね祭典に臨んだ。前晩より外宮斎館に籠(こも)り、テレビもなく虫の音しか聞こえない環境の中で静かなひとときを過ごし、祈りを捧(ささ)げるためには心を静める時間が必要なことを身をもって感じた。翌朝、外宮での祭典奉仕で斎館から参進し始めた際、これまでに経験したことのないすっと身が軽くなるような不思議な感覚を覚えた。祭儀を終えると清々(すがすが)しい気持ちを抱くとともに、滞りなく奉仕を成し遂げられたことに安堵(あんど)した。これからも陛下が世の平和と国家の繁栄、そして人々の安寧(あんねい)と幸福をひたすらお祈りされるお気持ちに常に副(そ)い奉りながら、誠の心を尽くして奉仕いたしたい」と話す。

 「神宮では御料品の自給自足や遷宮の御用材の育成、遷宮後の古材の再利用など持続可能な開発目標『SDGs』のモデルとでもいうべき完成された循環システムを維持している。これは神宮の素晴らしい伝統の一つ。神宮の組織や祭典を執り行うシステムが、2000年にわたり維持されてきたということは稀有(けう)なこと。最も核となる重要な部分を守るために何が必要なのかを常に考え、時代に応じ新たなものも柔軟に取り入れながら工夫を重ねること。歴代天皇が大切にされてきた国が平安で人々が豊かに暮らせるようにという、最も基本にして重要な祈りを体し、時代ごとに最善を尽くして神宮の祭祀に携わってきた神職をはじめ、関係者のたゆみない努力の集積によって今があるということを忘れてはならない。神宮のさまざまな伝統や歴史を学び、先例を研究していきたい」とも。

 久邇さんはこのほか、1993(平成5)年の第61回式年遷宮の際に妻と共に内宮遷御の儀に参列したことや大学時代スキー部に所属していたこと、現在はゴルフを楽しんでいること、小学生の頃に習っていたチェロを50年ぶりに再開しようと思っていることなどプライベートの出来事も明かした。

 久邇さんの大宮司としての主な予定は、9月2日の抜穂祭(ぬいぼさい)参列、9月17日の大麻暦頒布始祭(たいまれきはんぷはじめさい)、10月15日からの神嘗祭(かんなめさい)の奉仕などがある。

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