中秋の名月が9月10日、志摩の海から現れた。この日は、珍しい大気光学現象の幻月(げんげつ)も観測することができた。
サーフィンスポットとして人気のある市後浜(志摩市阿児町)では18時21分ごろ、うっすらと赤い光が弧を描くように広がり、次第に半円になり、まん丸の満月に変わった。一度雲の中に隠れた満月が再び姿を出すと、白い光を放ちながら高度を高く変え、やがて海面に月明かりの筋を作っていった。サーファーたちは中秋の名月をバックに暗くなるまでサーフィンを楽しんでいた。
新月から数えて15日目の夜にあたることから「十五夜」、旧暦の8月15日の月を「中秋の名月」と呼ぶ。新物のサトイモを供える風習から「芋名月(いもめいげつ)」とも呼ばれる。ネイティブアメリカンは9月の満月を「ハーベストムーン」と呼んでいる。この日は満月でもあった。
月の出から30分ほど過ぎたころ、満月の左右、同じ高度に幻月という大気光学現象が現れた。太陽から離れた左右、同じ高度に虹のように見える大気光学現象のことを幻日 (げんじつ) と呼び、夜空の月に現れるものを幻月と呼ぶ。共に風の無い日に観測されやすく、幻日よりも幻月の方が観測されにくい。