志摩市消防本部(志摩市阿児町)と中部電力パワーグリット(愛知県名古屋市)が9月12日・13日、電柱に宙づり状態になった作業員を救出する合同訓練を行った。
電気に関する知識の少ない消防隊員と人命救助経験の少ない同社作業員が連携し、電気作業中の事故における災害に対応。実践的な訓練を通して現場対応力の向上を図り、さらなる連携強化を目指した。同社伊勢営業所志摩サービスステーション(志摩市阿児町)敷地内にある電柱を使って、2日間で約50人(うち消防隊員42人)が訓練を行った。
訓練では、同社の作業管理責任者の東嗣人さんから電気作業時の危険ポイントなどの説明を受けた後、消防隊と救助隊が5人1組になり、作業員が電柱の上で宙づり状態になり自力脱出できない事故を想定。作業員の代わりに人形を電柱にぶら下げて訓練を行った。現場に消防隊員が駆けつけ救助するという一連の流れを実践し、訓練進行、時間管理、安全管理などを確認した。
同社志摩サービスステーション所長の竹内孝昇さんによると、志摩管内(志摩市と南伊勢町の一部)には約2万5000本の電柱があり、毎日必ずどこかで作業員が作業のために電柱に登っているという。「これまで宙づりになったことを想定した訓練は行ってこなかったので、今回の訓練をきっかけにより安全管理に意識を向けていきたい」と話す。
同本部消防司令の助田聡司さんは「救助技術の底上げを図り、緊急時に対応できるようにあらゆる事故を想定し、訓練を行っている。誰もが理解できるように訓練作業はシンプルにしかも安全確実、迅速にできるように心掛けた。作業員に救助用ロープを掛けて、引っ張るための支点を電柱の上部から取る際、消防本部のロープが約40%伸びることを考慮して作業を行わなければならないなど、注意すべき点が浮き彫りになった。今後も定期的に連携して救助訓練を実施していきたい」と話す。