猿田彦神社(伊勢市宇治浦田)の車両修祓(しゅばつ)所に11月29日、かつてF1グランプリで世界を転戦したF1マシンが持ち込まれ、神職によりはらい清められた。
【その他の画像】2003年のF1 GPに出走したジャガーR4
持ち込まれた車両は、チーム「ジャガー・レーシング」がフォーミュラの頂点F1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラカーで2003年にマーク・ウエバー選手、アントニオ・ピッツォニア選手、ジャスティン・ウィルソン選手が走った「ジャガーR4」。カラーリングは、2004年のF1モナコグランプリで、ジョージ・クルーニーさんやブラッド・ピットさんらが出演する映画「オーシャンズ12」とタイアップし走った時のものと同じで、ジャガー社が後に塗り替えた。その後、現役を離れたF1マシンだけで走る「BOSS GP(ボスグランプリ)」に出場していた。
マシンの所有者は、不動産関連事業を展開するコーニッシュグループ(大阪市)社長の今村聖三さん。小学校6年の時からF1マシンに乗りたいと願った夢をかなえ、12月に鈴鹿サーキットでの走行を前に安全祈願のために同神社を参拝した。
この日は、今村さんがスポンサードするレーシングチーム「LM corsa(エルエムコルサ)」でスーパーGTレースGT300クラスに参戦する現役レーシングドライバーの吉本大樹さんやF1マシンのメカニックのイギリス人らが同神社を参拝し、おはらいと交通安全祈願を行った。
1992(平成4)年の会社設立から毎年同神社に参拝するという今村さんは「ずっと購入可能なF1マシンを探していたところ、吉本さんからジャガーF1マシンのコレクターのオランダ人が手放してもいいという連絡をもらい譲ってもらった」と話す。
吉本さんは「ジャガーR4は長い直線なら400キロ近くのスピードが出る。300キロ以上は普通に出るが鈴鹿サーキットは直線が短いので最速で240キロ前後になるのでは。F1マシンは世に出ることが少ないので価値も年々高騰しているのが現状。人気のフェラーリは特別だが2億円で買ったものが8億円になっている」と説明する。
今村さんは「念願の夢がようやくかなう。そのためにフォーミュラ・ルノーのマシンで練習を重ねてきた。猿田彦神社でフォーミュラカーをおはらいしてもらうのは今回で3回目。おかげで安全に走行することができている。現在65歳だが、ここからがスタート。体力と精神力を鍛えいつまでも走り続けたい」とほほ笑む。