猿田彦神社(伊勢市宇治浦田)本殿裏の神田で5月5日、お田植え祭り「御田祭(おみた)」が行われた。
【その他の画像】猿田彦神社の神田で執り行われたお田植え祭りの様子
鎌倉時代以降の南北朝室町時代から継承されると伝わる同祭は、五穀豊穣、豊漁満足を祈願し、約500平方メートルの同神社神田で毎年この日に行われている。1971(昭和46)年3月17日に三重県の無形文化財の指定を受けた。
進修小学校(同)3年の八乙女(やおとめ)8人が玉苗(早苗)を植方(うえかた)に渡し田植えが始まる。植方は楠部町の男8人、女8人、植綱(うえづな)男2人の計18人で、男性は、侍烏帽子(さむらいえぼし)、手細(てぼそ)、袴(はかま)、御田扇(みたおうぎ)、女性は、市女笠(いちめがさ)、小袖(こそで)という桃山時代から伝わる装束を着て田植えを行う。その間、囃方(はやしかた)10人が笛や太鼓による田楽を演奏する。
田植えが終わると神田中央で、長さ約3メートル、直径約1.15メートル、恵比寿(大漁)と大黒(豊作)が描かれた大うちわを持った植方2人がその年の豊漁、豊作を占う「団扇角力(うちわずもう)」が行われた。今年は恵比寿が勝ち大漁が占われた。
団扇角力が終わると場所を同神社境内に移動し、「栄える」「生える・早く大きくなれ」と豊作を願う「豊年踊り」が行われ、「ハエーヤハエ、ハエーヤハエ」と声を掛けながらを踊りが披露され、最後にうちわを破る「団扇破り」が行われ、参拝者らがうちわの紙片や竹を奪い合った。紙片や竹を持ち帰ると無病息災となるといわれている。
うちわの紙片を持ち帰ることができた男性は「何が起こったのがわからなかったが、みんながうちわに向かって行ったので、とっさに体が動いた。帰ったら神棚に供えようと思う。なんだかありがたい」とほほ笑む。
同神社では、五穀豊穣・家庭隆昌・海漁満足・商売繁盛を祈る「御田扇(みたおうぎ)」(1,200円)、ショウブの花の形をした「福しょうぶ」(1,500円)、荒波を乗り切って飛躍するトビウオのごとく、五穀が荒き雨風に打ち勝って育つようにと神饌(しんせん)に用いられるトビウオの形を木で彫った「飛魚」(1,000円)を同祭の特別授与品として用意する。