伊勢神宮の専用水田「神宮神田(しんでん)」(伊勢市楠部町)で5月13日、「神田御田植初(しんでんおたうえはじめ)」が行われた。
伊勢神宮の祭典で神饌(しんせん)として奉納され、また神饌の中の酒などの原料として使用するうるち米ともち米を栽培する神宮神田。水は伊勢神宮内宮(ないくう)を流れる五十鈴川から引く。総面積は約10ヘクタールで、その内の栽培面積は約3ヘクタール。
同祭は、鎌倉時代から行われていたとされ現在は、地元楠部町の「神宮神田御田植祭保存会」が継承する。1971(昭和46)年3月17日に三重県の無形文化財の指定を受ける。
黄色の装束を着た神宮神田の責任者で神宮技師の山口剛作長(さくちょう)が3束の早苗を水田に投げ入れると、2人の作丁(さくてい)と呼ぶ奉仕員がその早苗を1束ずつ丁寧に植えた。その後、子持帷子(かたびら)に烏帽子(えぼし)、黄色のたすきをかけた男性10人と菅笠(すげがさ)に白衣、赤いたすきをかけた女性10人が裸足になり横一列に交互に並び、笛や太鼓の調べを聞きながら、早苗を手植えした。
早苗を植え終わると、手に竹扇を持った男10人が水田の東西に整列し、「ヤア」と掛け声を掛け合いながらイナゴを払う動作を行った。水田の中では大黒と恵比寿の絵が描かれた大団扇(ごんばうちわ)を持った2人が「団扇合わせ」を行いながら3回まわり、豊作を祈った。
6月24日には、伊勢神宮別宮「伊雑宮(いざわのみや)」(志摩市磯部町)で「御田植祭(おみた・おたうえさい)」が行われる。