佐藤養殖場(志摩市磯部町)が養殖する志摩のブランドカキ「的矢かき」の出荷が11月1日、解禁された。
【その他の画像】三重ブランド第1号「的矢かき」を育てる「佐藤養殖場」
1日は地元飲食店や旅館向けの出荷が主で、ネット販売や飲食店向けの出荷は10日から。昨年1月にオープンした同社直営のレストラン「的矢かきテラス」(TEL 0599-57-2612)では1日、カキメニューの提供を始めた。
志摩の的矢湾で養殖される「的矢かき」は同社が「清浄的矢かき」として販売するブランドカキ。2002(平成14)年3月、松阪牛、伊勢エビ、真珠、アワビとともに「三重ブランド」第1号に認定された。
同社の創業者で水産学者の佐藤忠勇博士(1887~1984)は、かごの中にカキを入れ海の中につるす「垂下式カキ養殖法」、成長したカキを紫外線殺菌した海水に18時間以上漬け浄化する「紫外線滅菌浄化法」を発明。この2つの発明は今ではカキ養殖に欠かせない養殖技術となり、日本のカキ品質を画期的に向上させた功績を持つ。
「的矢かき」が「三重ブランド」第1号に認定された理由は、佐藤博士が発明した技術のほかに、伊勢神宮の山々を背景に持つ池田川、神路川、野川の3本の河川からのミネラル豊富な水が養殖場のある的矢湾に流れ、植物プランクトンを育て、そのプランクトンを吸収するカキにとって最高の環境であること。通常2、3年養殖しなければならないカキが1年で出荷できるので、えぐみや苦味、臭みが少なく甘味が強いのが特長。漫画「美味しんぼ 青竹の香り(5)」でも紹介された。
濱地大規社長は「今年は昨年よりも実入りが良く粒ぞろい。的矢かき本来の味が11月から味わえる良い年になった。問い合わせも多く頂いているが、県外向けの販売は10日の出荷からになるので、もう少し待ってほしい」と話す。
同レストランでは、3種のカキのアラカルトやカキフライ、生カキ、カキ飯、アオサのみそ汁などが付く「牡蠣(かき)づくし定食」(4,250円)、「牡蠣づくし定食」に4品のカキ料理が加わる「かきテラス御膳」(5,500円)、「カキフライ定食」(2,180円)、「蒸し焼きカキ5個入り」(1,880円)などを用意。
濱地社長は「コロナ禍だったが、『的矢かきテラス』はオープンして1年間に3.5万人~4万人(県外6割)のお客さまに利用いただいた。そのうち、50%以上のお客さまが『牡蠣づくし定食』か『かきテラス御膳』を注文してくれた」と打ち明ける。「昔から佐藤養殖場を知る年配の方も多いが、若い世代の来店も増えている。『的矢かきテラス』が、創業者の功績や的矢かきについて知ってもらうきっかけの場となり、的矢かきファンになって何度も足を運んでもらえる施設になれれば」とも。
「的矢かきテラス」の営業時間は10時~15時。火曜定休。