春の耕作始めにあたり、今年の五穀豊穣(ほうじょう)を祈る祭典「祈年祭」が2月17日、伊勢神宮外宮(げくう)と内宮(ないくう)で執り行われた。23日まで伊勢神宮125社で行われる。
伊勢神宮では、10月の神嘗祭(かんなめさい)、6月・12月の月次祭(つきなみさい)の3つの祭典を「三節祭」、この2月の祈年祭と勤労感謝の日に当たる11月の新嘗祭(にいなめさい)を加えた5つの祭典を「五大祭」と呼ぶ。
この日、神饌(しんせん)を奉納し五穀豊穣を祈願する「大御饌(みけ)の儀」、皇室より勅使が参向し、「幣帛(へいはく)」と呼ぶ天皇陛下から贈られた五色の絹などを奉納する「奉幣(ほうへい)の儀」が両宮で執り行われた。
11時から内宮で行われた「大御饌の儀」において神饌や神職をお祓いする際には、鳴き声が「月日星(ツキヒーホシ)」と聞こえるイカルの透き通るさえずりが神域に響き渡った。正宮(しょうぐう)石段下の御贄調舎(みにえちょうしゃ)では神饌のアワビを神職が調理(包丁で切り、塩を振り味付け)する様子を見ることができた。
14時からの「奉幣の儀」では、緋(ひ)色の浅沓(あさぐつ)、白衣・緋袴(ひばかま)・小袿(こうちぎ)の平安の装束をまとった黒田清子神宮祭主が勅使の後を続き、久邇朝尊(くにあさたか)大宮司ら神職が内宮の参道を参進し、正宮にて祭典を執り行った。
祈年祭が執り行われると、神宮で使用する米の種もみをまく「神田下種祭(しんでんげしゅさい)」が神宮神田(伊勢市楠部町)で4月2日に行われる。